■乗り心地とハンドリング

“コンパクト・エグゼクティブ・クラスにおいて、XFはもっともたのしいクルマであることは間違いない” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

XEのドライビング・エクスペリエンスを決定づけるもののひとつとして、シートとステアリング・ポジションが挙げられる。これと同じくらい魅力的なのは、ペダルやステアリング、シフトノブのウエイトと反応の良さだ。

XEは同クラスのなかでもっとも楽しいクルマであることは言うまでもない。

R-スポーツ・トリムのテスト車両に組み合わされる19インチのタイヤは乗り心地を損ねることもなく、ノーマルとダイナミック・モード(オプションの可変ダンパー付き)のどちらでも不快に感じることはなかった。

全体の印象は、とても穏やか。ただ、ステアリングの切り始めの反応や、中腹での重みはどちらかというと敏捷性を促す躾であり、ロック付近に近づくにつれて重みは増していく。

先述のとおり、リア・サスペンションはインテグラル・リンクを採用しており、コストとしては理想的とはいえないが、次期XFと共有することを考えれば痛手ではないし、なにより動力性能が高まることがメリットだ。

他メーカーのエンジニアも、XEから学ぶべきことは多いはずだ。

■経済性とランニング・コスト

“プレステージ・グレードを選べば、レザー・フロント・シートやアルミニウム製インテリア、アンビエント・ライトもついてくる” ― ヴィッキー・パロット(ロードテスト編集補佐)

ジャガーがドイツ勢と渡り合っていくためには、BMW 320dやメルセデス・ベンツC220と勝負ができるモデルは必要不可欠だった。

そういった意味合いにおいては、163psを発揮するエントリー・グレードは、かなり ‘おいしい’ ということができる。CO2排出量は100g/km以下であり、燃料消費率は26.6km/ℓを超えるだけのポテンシャルがある。それに0-100km/hタイムは8.4秒、英国では3万2000kmまで保証されている。

それだけではない。

標準で17インチのホイールがつくうえ、8.0インチのインフォテインメント・タッチスクリーンまでもが、あらかじめ用意される。コンパクトなエグゼクティブ・カーを求める層にとって、きわめて理想的なパッケージングだと言っていい。

ミドル・レンジのパッケージングにも抜かりはない。

たとえばテスト車両のようにR-スポーツのほかにもプレステージやポートフォリオが用意されているのだが、レザーで覆われた内装は、多くの人が心地よさを覚える仕上がりになっている。

プレステージの場合、レザー・シートのみならず、さらりとした手触りのアルミ製インテリアやアンビエント・ライトが標準。ポートフォリオを選べば電動シートやキセノン・ヘッドライト、LEDデイライト、18インチ・アロイ・ホイールも付く。