標準のカレラ4Sにくらべると快適性は劣るうえノイジーではあるがエネルギッシュかつ興奮する仕立てであることは間違いない。同時に911の良点が残されていると見ることもできる。隅々まで引き締まった印象のインテリア・トリムなどがそうだ。

フロント・ガラスの向こうにはヘッドライトから伸びる2対の峰がみえ、スポーツ・シートのサポートも上々。アナログのスピード／タコ・メーターを堅持している点にもポルシェらしい硬派さが伺える。

満タンで64ℓとなるガソリン・タンクのおかげで、11.0km/ℓの平均燃費の場合644kmの航続ができる計算になる。今回は高速サーキットを含む322kmを走らせたが、燃費は8.5km/ℓという良好な数字をマークした。

並々ならぬプライス・タグを掲げるにもかかわらず、メディア・システムのレイアウトは正直に言って破綻しているしクルーズ・コントロールさえ標準ではない点は少しがっかりではあるが。

■「買い」か?

新車購入は残念ながら遅からぬうちに終わる。先述のとおり、新型のターボ版カレラが、GTSに終止符を打つからだ。GTSが欲しければ、セカンドハンド・マーケットを探すのが賢明かもしれない。

仮にGTSの購入を本気で望んでいるのであれば、4WDよりもRRの方を勧める。RRでもトラクションはかなりのものであるし、簡潔な構造ゆえ印象はピュアだからだ。

ジャガーFタイプRに比べて、有り余るパワーを愉しむクルマでないことは確かであることから、あえてマニュアルを選んでも満足できるはずだ。

もしこれから雪道を走る機会が多いのであれば、4WDのGTSを買うというのも大いにアリ。RRに比べると節度感は増すがカレラ4Sよりも与えてくれるものは多く、十分に楽しめるだろう。

仮に私ならどうするか?

最後にひっくり返すようで申し訳ないがケイマンGTSを買う。同じくらいのスリルでありながら、カレラGTSよりもエキサイティング。より走りに徹することができ、しかもコンパクトだからだ。パッケージングはケイマンのほうがやはり良い。

(ルイス・キングストン)

ポルシェ911カレラ4GTS PDK

価格	£98,679(1,823万円)
最高速度	303km/h
0-100km/h加速	4.0秒
燃費	11.0km/ℓ
CO2排出量	212g/km
乾燥重量	1565kg
エンジン	水平対向6気筒3800cc
最高出力	430ps/7400rpm
最大トルク	44.9kg-m/5750rpm
ギアボックス	7速デュアル・クラッチ