ゼノスE10ロードスター

公開 : 2016.05.27 23:50  更新 : 2017.05.29 20:01

■どんな感じ?

ゼノスE10、ウインドスクリーンがないことを別にすれば、オープン2シーターとして割りと普通のカタチをしているけれど、実はドアがない。おそらくコクピット部分の剛性を確保するため、ドアが開かないのである。したがって、ドアに当たる部分のサイドシルを跨いでコクピットに乗り込むわけだが、ウインド・スクリーンもトップもないため、イージーに乗り込める。

そうやってコクピットに収まって、薄いクッションを敷いただけのバケット・シートに身体をあずけるが、幸いドライビング・ポジションはごく自然な感じに決まった。全幅が1870㎜もあるクルマだからコクピットの空間にも余裕があり、こういうクルマにありがちな閉所恐怖症的な気分になることもない。もちろん、ウインドスクリーンもないフルオープンなのだから当然ではあるけれど。

ところが、3点式シートベルトをしようと思ったところで小さな問題が発覚。バックルに差し込む金具部分がサイドシルとシートバックの間の狭い空間に挟まっていて、なかなかベルトを引っ張り出せないのだ。バックヤード・スペシャルには有りがちなことだが、もしも自分がオーナーになったら何らかの対策を施したくなるだろう。

だが、6段ギアボックス1速に入れ、特に重くはないクラッチを繋いで走り出してみると、ベルト取り出し時の小さな不具合などどうでもよくなる。200psを発生するという2ℓ4気筒は、リッター当たり100psを絞り出すNAとは思えぬほど柔軟性に富んでいて、2000rpm以下からも有効なトルクを生み出してゼノスを軽々と加速させる。

しかもそれでいてこのエンジン、高回転まで引っ張れば4000rpmを超えるあたりから“ガ行”の爆音が高らかに奏でられると同時にグーンと勢いを増し、車重700㎏とされるオープン・ボディを力強くスピードに乗せていく。とにかく軽い回転感が印象に残るエンジンである。

と同時に、シフトレバーやノブまでフォードの市販モデル用そのものだという6段トランスミッションも、見た目のスポーツカーらしさはないけれど、軽いタッチで確実にシフトできる、気持ちいいギアボックスだといえる。

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