ポルシェ718ボクスター

■プロローグ

“718のエンブレムは、ポルシェのレースにおける歴史を知っていることを前提としている” ― マット・ソーンダース (ロードテスト編集補佐)

1990年代中ごろ、マツダMX-5ほど安価ではない価格帯でスポーツカーを買うとなればTVRくらいしかなかったが、ポルシェ・ボクスターがでたことでBMW Z3やメルセデスSLKが次々と登場した。

ボクスターの重要性について、控えめにいうのはむずかしいのは、ボクスターがポルシェのプロダクトだからというだけでなく、他メーカーのスポーツカーにも、少なからぬ影響を及ぼしてきたからだ。

われわれは、ボクスターをもっともシリアスなスポーツカーと認めているのに対し、BMWやメルセデスの2シーター・スポーツカーを ‘後追い’ のクルマだと捉えているが、多くの読者にも異論はないだろう。

そのあとに、控えめなエンジンを搭載したアウディTTがでた。現在のTTの成熟度をみれば、初代TTは未熟もいいところだが、これらのおかげで数千人もの人々が、気軽なスポーツカーを手にする機会を手にした。われわれ英国人はもう樹脂ボディの小型スポーツカーを買わずによくなったのである。

ポルシェにとって喜ばしかったのは、ミド・スポーツカーに再び情熱を注ぐことができた点だ。RRの911とはべつのハンドリングへのアプローチが可能になったことで、開発は着々と進んだ。

現時点における、ハンドリング・マシンとしての集大成がケイマンGT4にあたるとAUTOCARは認識しているが、おそらく読者諸兄も、911を含むすべてのモデル群のなかでもっともエキサイティングなポルシェだという共通認識をもっているのではないかと思う。

ボクスターが、公式に市場投入されたのは1996年のこと。986世代と呼ばれたこちらは、2000年まで2.5ℓエンジンを搭載しつづけた。その後、排気量は2.7ℓに拡大。同時に3.2ℓのエンジンを搭載した上位グレード、ボクスターSがラインナップに追加された。

 
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