中古車対決! フォード・フォーカスRS vs ランチア・デルタHFインテグラーレ

公開 : 2016.08.15 05:50  更新 : 2017.05.29 19:30

ギャレットT3ターボによる加給を受ける1995ccの直4は213psを発揮する。対するフォーカスRSは、2261cc直4ターボが350psを叩きだす。デルタの方が249kg軽いにもかかわらず、パワー・トゥ・ウエイト・レシオは1トンあたり61psもの差が開いている。

ただ、興味深いのは、フォーカスRSにはローンチ・コントロールが付いているものの、0-97km/h加速のテスト・データが、たったの0.7秒しか変わらないという点だ。スタート直後はフォーカスRSが前にでるのだが、97km/hに至るときには差が縮まっているのである。

理由のひとつとして、デルタが ‘2段階の加速’をする点があげられる。シグナルがグリーンになってアクセルを踏みつけた直後はターボ・ラグが看取されるのだが、3750rpmに到達すると、勢いははるかに増す。さらに高回転でもう1段階強力な加速をしてみせるのだ。

野蛮さでわたしを圧倒するデルタHFインテグラーレに対し、フォーカスRSはまさに近代のそれ。イナーシャの小さいツイン・スクロール・ターボは、いかなる回転域でもデルタに比べものにならない反応を披露する。

もちろん低回転域ではそれなりのラグはあるが、ほんの一瞬のできごと。それ以降は迅速かつパンチ力のある加速が中回転域以上までつづく。ガチリとしたギアボックスが男らしさを増している。

エンジン音はデルタHFインテグラーレの方がフォードよりも人工的な部分が少ない。いかにも健康的なサウンドは、ガシリとしたボディ形状とも合っている。スカットル・シェイクやノイズ、レザーが擦れる音、風切り音など、近代のクルマではなくなりつつあるものが、むろんこのクルマにはある。ふつうならば苛立つはずだが、このクルマなら笑顔になれるのがおもしろい。

サーキットでは、フォーカスRSが最新技術をもって、デルタHFインテグラーレに大鎌を振りおろす。鋭敏でありながらも安定している。トラクション制御のうまさと賢いダンパーのなせる技だ。

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