ケータハム・セブン・スプリント

公開 : 2017.02.02 05:50  更新 : 2017.05.29 18:33

乗り心地は硬いが不快ではなく、路面の変化や亀裂などをシートクッション越しに教えてくれる。一方で指先にはニス塗りのウッドリムを通じて、フロント・タイヤからの情報がコンスタントに伝わってくる。

グリップ・レベルを正確に判断するのに、さして時間は掛からない。限界を超えたときでさえ、絶対的な速度がそう高くはないため、体勢を立て直すのは簡単だ。リヤはリジッド・アクスルとドラム・ブレーキというシンプルなセットアップだが、それでも適切に用いれば、極めて有効なものになり得るという証明にほかならないのが、このクルマだといえるだろう。

すべての操作は、クルマからの明らかな反応へと転化される一方で、拘束具のようなコックピットで330mm径のステアリング・ホイールを扱うのは至難の業だ。その結果、ひじを車外に出す1960年代風のドライビング・スタイルをとることとなる。

また、このクルマはその本質ゆえに、長距離クルーズへの適正は低い。風切り音という表現すら甘いほどの轟音、ロード・ノイズとバイブレーション、そして、いうまでもなく、左足を休めるスペースがないことによる苦痛。

さらには、ラジオすらないため、退屈さにも耐えなくてはならない。セブンを、ワインディング専用マシーンにしておきたい理由は、枚挙に暇がない。

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