■「買い」か?

プリウス・プラグインは、PHVに対象を絞った少数派の顧客層を納得させるクルマではあるが、より広い範囲のユーザーにアピールするのは難しい。

これまで20年間で4世代を数えるプリウスは、ついに多くの人々を満足させ、価格帯の重なる一般的なハッチバックから抵抗なく乗り換えられるクルマになった。

しかし、それより£10,000(142万円)高く、電力方面の性能を高めながらパッケージングではやや後退したクルマを、トヨタは性能が大きく向上したプリウスだと宣伝している。

今後、電動パワートレインを備える自動車の歴史を編纂した場合、これが主要項目ではなく、注釈的な扱いを受けることになるのではないかと心配になる。つまりは主流として定着するのでなく、年間数千台ほどを、エコカーに興味を持ちながらも本格EVを購入するのに躊躇するユーザーへ販売し、エンジンからモーターへの橋渡し役として短命に終わるのではないかと思えてならないのだ。

トヨタに追いつけ追い越せの20年を過ごしてきた欧州各車のハイブリッド技術は、今や本家に迫らんとするところまで来ている。それらに比べれば、PHVのアピールはいかにも弱い。開発者にしてみれば夢のクルマかもしれないが、トヨタがハイブリッドのベンチマークであり続けるためには、更なる進歩が望まれる。

■日本版編集部の見立て

ライバルが追いついてきたとは言え、プリウスは今やハイブリッドのアイコン的存在になった。英国AUTOCARでもプリウスをハイブリッドの「本家」と称している。だからこそ、普通のPHVではない何か、人々を驚かせるような何かが要求されているのかもしれない。

トヨタ・プリウスPHV

価格	£34,895(496万円)
全長×全幅×全高	4645×1760×1470mm
最高速度	163km/h
0-100km/h加速	11.1秒
燃費	100.2km/ℓ
CO2排出量	22g/km
乾燥重量	1550kg
パワーユニット	直列4気筒1797cc + モーター
最高出力(エンジン)	98ps/5200rpm
最高出力(モーター)	14,5kg-m/3600rpm
最大トルク(エンジン)	72ps / 31ps
最大トルク(モーター)	16.6kg-m / 40kg-m
システム出力	122ps
ギアボックス	電気式無段変速