■どんな感じ？

ブガッティは450台のヴェイロンを売り切った。そしてシロンは、すでに250件のオーダーを受けており、デュルハイマーは残り250台も完売する自信を見せる。

インテリアは、レザーとメタルが大部分を占め、それ以外のマテリアルはほとんど目につかない。そして、レザーで覆われた各部の手触りは硬いが、これは軽量化のために遮音材や断熱材を減らしているからだ。

とはいえ、そこは£2,518,000（3億4,786万円）の高級車。ステッチは美しく、異なるマテリアル同士の合わせ目はナノ単位かと思えるほどパーフェクトだ。

左右席の間を仕切るのは、世界最長のルームランプというC型の照明で、これを見ると、果たしてオープン版を製作するときにはどうするのかという疑問も生む。

シートは幅広すぎず、サポートは良好で、電動調整機構も備わる。そして、キャビンはワイドに感じられる。ステアリング・ホイールの位置調整は手動式で、スタートボタンやドライブ・モードのスイッチ、シフト・パドルが装着される。

サイド・ブレーキは電気式で、細身のセンター・コンソールはキャビンの広さとボディ下部の剛性アップに貢献する。その中央部には、美しいサテン・ポリッシュ仕上げのメタルパネルで覆われ、それを飾るのはしっとりとした操作感のノブだ。

ヴェイロンにもあったリミッター解除キーはシロンにも用意され、これを差し込まなければ380km/hまでしか出ない設定だ。

視認性は平均的だが、エルゴノミクスはフォルクスワーゲン・グループの基準に忠実なレベルで、エンジン始動はアウディなどと同じようにボタンを押すだけだ。ただし、シリンダー数の多さからか、ぼんやりと不協和音が聞こえてくる。ブレーキペダルを踏み、シフト・セレクターを手前に引いてDポジションに入れれば、あとは走り出すだけだ。

そこにあると思ったものは、すべてそこにある。まるでゴルフに乗っているようだ。

全幅は2mもあり、8.0ℓ、1500ps、440km/hを超えるポテンシャルを秘めていてもである。ゴルフにたとえたのは、けなしているわけではない。むしろその反対だ。

試乗においては、語るべきことは多くない。