2台のスモール・フェラーリ、ディーノ246GT & 308GT4

公開 : 2017.04.22 00:00  更新 : 2017.05.29 18:52

意外と多くの共通点を持つ2台のディーノ

しかし308GT4は本当に246GTの1割程度の価格のマシンでしかないのか? この見落とされている2+2を買った人ははるかに高価な兄弟分とほとんど同等のドライバーズカーを入手したことにはならないのか? この2台は外見以外は多くの共通点を持っており、何よりもその製造時期が重なっているのだ。販売された台数もほとんど同じだし、外寸も驚くほど近く、0-97km/h加速は0.5秒以内の差に収まるし、最高速度の差も5km/h程度でしかない。そして両方ともコメンダトーレ・エンツォ・フェラーリからは不興な存在だったのだ。


当然ながら先に出たのは246だった。ディーノというブランド名が付けられたのは、夭折したエンツォの息子にちなんだものであると同時に、この廉価なスポーツカーを志向していたクルマを「本物の」12気筒のフェラーリと意識的に区別するためであった。マラネロは「ほとんどフェラーリ」として売り出していたが、大量の解雇者を出していた当時のこのフレーズは現在見れば滑稽でもあるものの、ディーノの誕生の苦しみを強調するには実に効果的であった。

繊細なクロモドラ製アロイホイール。

記録的な販売台数を達成した246GT

ピニンファリーナによるプロトタイプの206が1966年のトリノ・モーターショーで成功を収めた後、翌年になってフェラーリはこのクルマの製造に乗り出し、アルミ合金製のボディ・スキンは主にスカリエッティによって製造された。鋼鉄ボディの246(より大排気量で鉄製ブロックのV6を搭載)が2年遅れてそれに続いた。ディーノは74年まで販売が続けられたが、そこにはフェラーリの思惑を遥かに超える販売量という理由があった。フェラーリの権威をもって任じる人の好みには合わなかったかも知れないが、それ以外の誰もがこのクルマを愛し、その販売台数は記録的な数字に達したのだった。

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