ロードテスト(2) メルセデス-AMG GT R ★★★★★★★★★☆

公開 : 2017.08.12 11:10

乗り心地と操縦安定性 ★★★★★★★★☆☆

われわれはスタンダードなAMG GTもかなりの好みだが、それが時と場所を選ぶクルマであることもまた疑いようがない。最大限楽しむには、その条件に合った場を用意する必要がある。理想的なのは、スムーズで広く、単調なコースだ。

それはある意味で、GT Rも変わらない。それは、エンジンやシャシーを手直ししたとはいえ、着座位置は相変わらず後ろ寄りで、前輪がはるか遠くにあることが関係する。

しかし、このクルマがポルシェ911よりかなりワイドで、マクラーレン570Sほどフロント寄りに座っていないことを受け入れたなら、このクルマの走りにがっかりすることはないだろう。

ダンパーは、最もソフトなセッティングにしても、基本的には硬い。しかし、ポルトガルのスムーズな路面で初試乗した際に危惧した、英国の路上での不快さには程遠い。

英国のタイトなB級道路に向かないホットロッド風のキャラクターではあるが、1000年前の地形をなぞったように節くれだったアスファルトの上でさえ、激しいピッチングや、ステアリングの破綻を起こすことはない。

中立をわずかに外しても反応するステアリングもあって、小さなアジャストを連続的に要求するような道路には向かないクルマだ。

まっすぐ走って、時に大きく舵を切るのが、右に左に滑らかに曲がりくねるより合っている。大きく切ると、自ら直進に戻りたがらない性質もあり、低速域では自らステアリングを戻さなくてはいけないように感じさせられる。

そんなGT Rが、サーキットでこそコンフィデンスを見出せるのも驚くべきことではない。そこでは、ダンパーを最もハードに設定しても、ボディはそれなりに動く。

開発の主な舞台であるニュルブルクリンクが、ある程度の追従性を要求するからだろうが、そうやって磨かれたことが、カントリーロードの凹凸への対処の仕方にもつながっている。

ただし、その動きそのものはしっかりとコントロールされ、サーキットでのペースは驚くほどというにはやや物足りない。911GT3ほどドライビングに熱中できるものではないのだ。

ロック・トゥ・ロック2.0回転のステアリングはクイックだが、フィードバックは乏しい。とはいうものの、ストップウォッチが示すタイムが、これが十分すぎるほど速いクルマだということを否定することはない。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

メルセデスAMG GTの人気画像