シボレー・コルベット・スティングレー vs ジャガーE-タイプ vs トヨタ2000GT(1)

公開 : 2017.09.26 18:40  更新 : 2017.09.27 20:48

ガキのころの夢を叶えた

このクルマのオーナーであるグラハム・クルックスは、学校を卒業するときには既にコルベットを所有することを心に決めていたのだそうだ。そしてその卒業の年にC2がローンチされた。

「もちろん『スプリット・ウインドウ』のポスターも部屋に飾っていましたよ」とクルックス。「だけれど実際に自らの元にやってきたのはかなりの後のことです」と続ける。

「なぜなら拘りが強かったのです。と言っても、実はエンジンはどれでも良くて……。わたし自身が拘ったのはオートマティックであること。それにディスクブレーキとパワーステアリングが付いている、と言うことでした。65年式を選んだのもそんな理由からなのです」

18カ月かそのくらいが経ったあと彼はキラキラと輝くイエローの327/300を手に入れた。夢が現実になった瞬間である。まっすぐ走るだけが速いという固定概念を払拭するきっかけとなったのが、ディスクブレーキや4輪が独立したサスペンション、あるいはパワーステアリングなど「本気の」エレメントだったのだ。

アメリカ人が海外旅行に心躍らせた時代のジェット機の機体からインスピレーションを得たボディラインと、70年代特有のエッジの立ったラインの融合も見事なものだった。クロームのパーツが最低限に抑えられていたのも特徴だ。ケルシーヘイズ製のタービン-スタイル・ホイールを履かせれば完璧である。

シェビーの広告は、いかにも「アメリカン・マッスル」を押していたけれど、実際に乗ってみると、クラッチは軽く、シフトチェンジはいとも簡単にできるうえに、すべてのフィールが驚くほどマイルドなのだ。強いていうならばサーボ機構がないブレーキには力がいるが、それでも十分な仕事をしてくれる。

ラフな滑走路を走らせても、セパレート・フレーム特有の弾みがない。言うまでもなくスムーズな路面の落ち着きはかなりのもので、ボディロールはほとんど感じないと言っていいほどまで抑えられている。

リアはややソフトな方向に振っているが、(そのお陰とも言うべきか)205/75 R15のタイヤは従順に追従してくれる。当時の試乗記事を読んでみると「一言で言うならスティングレイは粘り強いクルマだ」と書かれていたが、まさにそのとおりだと感じた。

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