ロードテスト(9) スマート・フォーフォー ★★★★★☆☆☆☆☆

公開 : 2017.10.09 19:10  更新 : 2018.01.19 23:20

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り

パワートレインは比較的力強く、EVに求められるようなスムースさもみせる。より大容量のバッテリーを積むクルマが見せるような、圧倒的なトルクとイージーな加速こそないものの、このクラスでこれより明らかに強力だと感じられるのはe-Upくらいだ。加速に不満はなく、たいていのシティカーを上回るもので、この手のクルマではめったに得られないと思えるペースだ。

0-97km/hは13.2秒で、これは2014年にテストした1.0ℓのトゥインゴより4.5秒も速い。48-114km/h加速では、ガソリンエンジン版フォーフォーのタイムを同じくらい凌ぐ。しかし、ヴィヴァにはいずれの計測でもわずかばかり譲るが、それも驚くに値しない。少なくとも80km/hを超えると、ドライバーズシートでは速さを感じられないのだ。高速道路の合流や100km/hを超える追い越しでは、このクルマはスローで、時として不安定にも感じられる。60km/h強までは実にパンチがあり、1.0ℓガソリンのヴィヴァより速く、レスポンスにも優れ、市街地であればたいがいの場合、交通の流れをリードすることができる。

コースティング制御と回生ブレーキは扱いやすい。このクルマはレーダーガイド式回生システムを備える。ノーマルモードでは前方に他車がいない場合、スロットルペダルから足を離すと惰性運転に入るが、前車を検知すると自動的に回生ブレーキを利かせて速度を落とす。実際には、このシステムの働きは上々とは言えず、スロットルオフ時の挙動は読みづらいものがある。エコモードではレーダー機能は停止し、スロットルペダルを離すとすぐに回生ブレーキを最大限利かせるという。ブレーキは、ペダルフィールも利き方も一貫性がない。

すべて考え合わせると、電動パワートレインの扱いも、最大効率を得るのも、ほかのEVほど楽ではないといえる。

テストコース

驚くほど速く減るバッテリーが、このフォーフォーで飛ばしたくない理由となる。限界域でのグリップとハンドリングは有能だと言ってよく、チューニングの優れたスタビリティコントロールは、過剰に介入するようには感じられないが、スロットルオンでのアンダーステアを防いでくれる。

16インチのホイールを履く試乗車では、コーナーのレコードラインをどうにかなぞり、アペックスを捉えることができる。グリップは、標準的なレベル以上だと思われる。

コーナー出口で再びスロットルペダルを踏み込むと、トラクション/スタビリティコントロールが積極的に働く。実に素直で、運動性能の限界まで攻めるのも容易だ。荷重異動でリアの荷重を抜くと、スタビリティコントロールが突如として介入するが、最終的にはしっかり働いてくれる。

リアサスペンションは、T1でのトランスミッションの揺れを十分に吸収してはくれず、リアタイヤの跳ねを抑えきれずスタビリティに影響する。

T4のアペックスを捉えるには、ステアリングをしきりに操作する必要があるが、ボディのロールはそれほど大きくない。脱出では、ESPがスロットルオンでのアンダーステアを抑えてくれる。

T4の後やT7の前では、ボディの上下動が、ロールほどうまく抑制できていない。ピッチやスクワットが多い。

発進加速

テストトラック条件:乾燥路面/気温19℃
0-402m発進加速:19.4秒(到達速度:113.9km/h)
0-1000m発進加速:36.3秒(到達速度:132.9km/h)

ヴォグゾール・ヴィヴァ1.0SE(2015年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温12℃
0-402m発進加速:19.4秒(到達速度:115.6km/h)
0-1000m発進加速:35.8秒(到達速度:142.6km/h)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温19℃
97-0km/h制動時間:2.86秒

ヴォグゾール・ヴィヴァ1.0SE(2015年)
テスト条件:乾燥路面/気温12℃

★★★★★★☆☆☆☆

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

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