ロールス・ロイス新型 ファントムVIIIに試乗 そもそもの思想、異なる

公開 : 2017.10.13 12:40

軽量化は「二の次」 洗練性/ライド重視

ボディ剛性を高めることは、ファントムをファントムたらしめる重要な2項目、洗練性と乗り心地に直結する。では、コントロールしやすくするキーは何だろう? それはエアサスペンションである。

エアサスペンションは、アダプティブダンパーとアンチロールバーの機能を統合したような働きを持つが、乗り心地はもちろんのこと、コントロール性にも寄与する。

ちなみに電圧は48Vではなく、12Vのシステムとなっている。また後輪操舵システムも装備しており、最大3°までカウンターステアを機能させる。EWB版なら、一層有効な機能だろう。

なお、ファントムの全長は標準モデルで5.76m、EWB版は5.98mだ。ケーンによると、ボディ剛性の向上だけでなく、洗練性と技術レベルを高められる可能性はすべて取り入れていることが、いずれも前モデルより短かくなっている理由だそうだ。

発泡剤や特殊なシートなど、消音材は130kgにも及び、タイヤの内側にも仕込まれている。明らかにやわらかいサイドウォールのタイヤを装着しており、テスト車両が履く22インチのホイールは、フロント45、リア40扁平のタイヤと組み合わされていた。

またタイヤ内は大きなノイズ共鳴の原因となる空間があるため、マイバッハやメルセデス・ベンツSクラステスラモデルSと同様、それぞれのタイヤには2kgもの吸音スポンジを内蔵している。バネ下重量は悪化するが、実質的な車重に関してはそれほど影響を及ぼさない。

パワーユニットは従来と変わらず6.75ℓのV12エンジンで、近年では珍しく排気量に変化はない。ゴーストで採用されている6.6ℓV12エンジンのストロークを長くしたものだ。ボアが大きくなっていないのは、トルクを優先したため。ふたつのターボが備わり、ゴーストと同じ571psを発生させる。

特筆すべきトルクは、91.6kg-mで、わずか1700rpmから発生する。ピークパワーは5000rpmとなり、ユニットのレブリミットは6500rpmだが、分厚くラグジュアリーなフロアカーペットめがけてアクセルを踏み込む必要はほとんどないだろう。2500rpm以上の回転数は「通常の運転範囲では使用しないでしょう」とケーンは話す。

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