アルピーヌA110初試乗 バランスは第一級 文句なしの★★★★★

公開 : 2017.12.12 12:10  更新 : 2021.05.13 12:00

惚れ惚れするようなバランス

このクルマにLSDは必要だろうか? LSDはついていないが、その代わり、より軽いオープン・デフとホイール・スピンを防ぐためのインナー・ホイール・ブレーキを持っている。

しかし、このシステムはあまり機能しないようで、ヘアピンで内側のホイールの荷重が抜けた時には、ベーシックなMX-5やケータハム160のようにホイールがスピンすることがある。

しかし、例えばサーキットで横荷重をもっとかけると、LSDは全く必要ないことがわかる。注意深く観察すれば、パワーをかけた状態でアクセルを踏んだり、ブレーキングでフロントに荷重をかけすぎたりすると、ほんの少しアンダーステアが顔を出すのがわかる。

しかし、荷重バランスのシフトを少し丁寧に行えば、A110をニュートラルからオーバーステアに転ずるのは訳もないことだ。テールを自在にスライドさせることができる十分なパワー、惚れ惚れするようなハンドリング・バランス、それに素晴らしいアジャスタビリティを兼ね備えている。

ドライビング・モードに関係なくA110のエンジンは十分に活発である。スポーツ・モードではエグゾーストはハードな音を奏でるが、6750rpmまでの吹け上がりは少しゆっくりだ。結構大きな唸りも発する。A110はスピード第1のクルマではなく、ドライビング・プレジャーにはラップタイムや直線でのスピードなんて関係ないとアルピーヌはいう。

その通りだし自動車メーカーから聞くと元気づけられるが、それでもこれは0-100km/hを4.5秒で駆け抜け、250km/hのリミッターが作動するクルマなのだ。

7速ギアボックスは現行型クリオの6速ギアを改良したもので、シフトは速くて明確だが、時々ニュートラルに入るような感じがしてもっと強いエンジン・ブレーキが欲しくなることがある。ポルシェのPDKには敵わないようだ。

しかし、ともかくわたしはこのクルマが大好きなので、もしギアボックスがバターでできていて、ステアリングにチーズの糸がついていても問題ないんじゃないかと思っていることに気づいた。

1100kgの2シーターということに目がくらんで、欠点が見えないだけなのだろうか? そうは思わない。アルファ4Cを思い出してほしい。わたしは4Cも良いクルマだと期待したのだが、鏡のような場所でしか走れないクルマだった。

A110はどこでも走れる。あとは、しっかり走り回るのみ。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

アルピーヌ A110の人気画像