ポルシェ911ターボが負けた日 英国人の目から見た日産GT-Rの実力 前編

公開 : 2018.01.21 08:10  更新 : 2018.01.21 12:04

まず触れるべきアソコのありえなさ

ではさて、このマシンについての話をどこから始めよう? 最大トルクは60.0kgm/3200rpmでターボ加給されてる感じはほとんどない、なんてのはどうか。さもなくばステアリング? 重さ的にもサイズ的にも英国の道にはトゥーマッチなクルマを苦もなく操れるのは、それだけモノのわかったヤツが開発したからに違いない。あとはそう、グリップ? 常にトンでもなく強烈。

でもやっぱ、まず触れるべきはアソコだと思う。重要なのは。GT-Rが持っている希有な才能の数々をまとめあげて全体をガッチリ意味あるものにしているコンポーネント。そう、トランスミッション。
 
R35のステアリングホイールの向こう側に、狼の耳みたいなモノが見える。金属製のパドルがふたつ。左を引くとシフトダウン。右を引くとひとつ上のギアへ。それだけわかってればGT-Rをドライブすることはできる。

同じことはポルシェのティプトロニックに関してもいえるわけだけど、でもこの迅速さとスムーズさを知ってしまうともういけない。ほかのあらゆる液圧作動のマニュアル変速(または知能派オートマ)は、これと比べたらもはや過去の遺物。この加速Gの途切れのなさ加減ときたら。ありえない。


 
4WDの助けもあって、ドライバーが頭に描いたとおりのトルクとパワーのグラフのカーブを、実際に得られるそれらの値がなぞってくれる。なんと見事なギアボックス。要するに、思いのまま。だとすると911危うし。ていうかご愁傷様。

と思ってたら到着。ターボの威厳を保つためにワザと遅れて。さもなくば僕の911愛へのせめてもの報いとして。

できることならドライブせずに済ませたい、という気持ちにかられる。事態はマズい方向へ進んでいる。ふたつの側面において。

テクノロジーは常に進歩するものだし、自然淘汰の法則には何者も逆らえない。よって、英国で売られているうちでもっとも速くA地点からB地点へ移動できるクルマとして911にとって代わるものは必ずや現れる。結局のところ。

後編へつづく。

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