ウサギとカメ ポルシェ911とスマート・フォーツーでかけくらべ 後編

公開 : 2018.03.10 18:10  更新 : 2018.03.12 17:16


到着時間の差は9分、平均速度差は3km/h

なぜここまで、スマートの走行性能が印象深く感じたのか、良くわからない。もし運転する楽しさに溢れたクルマを設計するなら、ポルシェ博士がその例を示したように、短いホイールベースと、リアエンジン・リアドライブが適しているのかもしれない。

実際、このスマートが好例だ。低速コーナーでの走りは驚くほど素晴らしく、エイペックスにイン側のホイールを吸い寄せたら、出口に向けて強力なトラクションでの加速が待っている。

ツインクラッチ・トランスミッションはまだ完璧ではないけれど、不満を持つほどでもなく、ノイズは穏やかながら、エンジンも極めて活発な振る舞いを見せる。

スマートでこの旅をスタートさせた時は、多少楽しめれば良いかな、という期待を抱きつつも、退屈に違いないと思っていた。しかし、アングルシー島の入り口に着くころには、期待をはるかに超える楽しさを味わうことができたのだった。

そして、さらに注目すべき結果なのは、ポルシェ911ターボSのわずか9分遅れでゴール地点に到着できたということ。マウロもわたしも、にわかには信じることができなかった。

「決してダラダラ走ったわけではないと、信じてください」と、そんな内容を何度か彼は繰り返した。

交通量は予想よりも若干少なかったから、スマートの移動速度も充分速かったということだ。加速には時間がかかっても、他の遅いクルマに引っかかるか信号以外は、スピードを落とす場面がほとんどなかった。それを裏付けるように、スマートの平均速度は、ポルシェ911ターボSよりわずか3km/h遅いだけだった。

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