回顧録 スーパーDセグメント対決 BMW M3 vs C63 AMG vs レクサス IS F 前編

2018.04.01

C63の圧倒的な動力性能

混雑した街を抜け、路面の整った空いている道で持てる能力を解き放ったときのC63は、なんとも形容できないくらい感動的だ。スーパーカーを操るときのように集中力を研ぎ澄ます必要はない。ステアリングに軽く手を添え、右足に少々力を込めるだけでいい。それだけでC63は、途方もない速度で突き進んでいくのである。

もちろん標準モデルに比べればパワーデリバリーはワイルドで、耳への刺激も相応に強く、動きもサルーンのレベルを超えて鋭い。けれどメルセデスとして許容できないほどかといえば決してそんなことはない。乗り心地は速度の上昇に比例してなめらかさを増していくし、風切り音も最小限に抑えられている。全体としてはむしろ驚くほど洗練されているといっていいだろう。

7段のギアボックスは、今となっては話題として取り上げるほどのスペックではないが、その動作は素早く確実だ。コンフォートモードを選んでおけばギアチェンジが最小限に抑えられるので、静かで穏やかなクルージングも楽しめる。また、その状態でも61.2kgmの強大なトルクのおかげで加速には不自由しない。勢いあまってフルスロットルにしてしまっても回転の上昇はどこまでもなめらかで、底知れぬ加速力が解放されたことを示すのはV8の深く鋭い音色だけだ。

こうしてC63は淡々と距離を稼いでいった。だが、その静謐な時間の流れは、ミラーに映ったひと筋のキセノンヘッドランプの光によって破られた。M3が合流してきたのである。

 
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