スーパーサルーン3台 計1861psの直接比較 新型BMW M5 vs AMG E63 S vs キャデラックCTS-V 前編

公開 : 2018.04.22 06:10  更新 : 2018.04.24 15:30


大きな改善を遂げたメルセデスのエアサス

乗り心地の面ではどうだろう。

600psを持つクルマのオーナーにとって、自宅のガレージで所有する喜びに浸ることも悪くないが、その乗り味の繊細さを確かめることは、もっと楽しい作業だと思う。

ドライビングフィールの細かな部分を比較した場合、単に速いだけでなく、安定性とリラックスした雰囲気を持つクルマが好みなら、E63 Sがベストではないだろうか。

さかのぼると、昨年の夏に別のE63をテストした際の乗り心地は、ストレスを感じるほど硬さを感じられた。その後も何度か試乗しているが、AMGのエアサスペンション仕様の快適性は、驚くほど明確に改善している。今回のテスト車両も、前回とはまったく異なる乗り心地を提供してくれた。そのため、ほかの2台とは明確な差異を生んでいるのだ。

今回の3台ともに、設定を変化させられるドライビングモードが備わるが、E63のコンフォートモードは、その名の通り快適至極なもの。BMWよりも若干音質面では劣るものの、荒れた路面や舗装の剥がれなどに遭遇しても、振る舞いは落ち着いており、低速域での快適性も優れている。

BMW M5のサスペンションは、最もコンフォートな状態であってもE63より平静さに欠けており、どうしても細かな振動が常に気になってしまう。

キャデラックCTS-Vにはコンフォートモードの設定はないが、他の2台と比較して、明確に路面状況に左右されない乗り心地を得てはいる。しかし、アジリティの面では今ひとつで、路面が荒れていたりうねっていたりすると、ステアリングの反応が他のクルマの倍近く変化するし、常にストロークが足りていない印象がある。CTS-Vが、他の2台よりもシンプルに真っ直ぐ進むことが得意なクルマであることは明らかだ。

結果、運転に熱中したいと思っても、どこか中途半端さが付きまとってしまう。一方で、シンプルに真っ直ぐ進むことが得意ということは、アメリカ車らしい長所にもなり得る。

ただし、このグループでの比較となると、不満の残るものとなってしまった。

後半に続く。

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