価格差バトル 日産フェアレディZ vs ポルシェ・ケイマン 回顧録

2018.05.03

100字サマリー

Z34型になり排気量も3.7ℓに拡大された日産370Z(フェアレディZ)とポルシェ・ケイマンの対決です。ルックスの迫力ではZが圧倒していますが、走りの正確さではやはりポルシェの実力にはかないません。ただし、価格差を考えるとZの勝利となりました。

もくじ

全てがリファインされた2代目ケイマン
370Zの合流
ルックスで圧倒するZ
敏捷で正確なケイマン
9割程度までの走りは上々
有無を言わせぬポルシェの実力
「言い訳無用」とは言いかねる価格差

全てがリファインされた2代目ケイマン

午前5時。鳴り響く目覚まし時計をひっぱたいて黙らせ、寝ぼけ眼のままベッドを飛び出してシャワールームに直行した。

ちっぽけな脳味噌が徐々にその機能を取り戻すにつれ、これからの14時間になにが起きるのかについて想像力が働き始める。

──ユーロトンネルへの道路は空いているだろうか? 派手な赤いスポーツカーにひとりで乗っているといつもそうであるように、今日も税関でトランクを隅から隅までしつこく調べられるのだろうか?

そして、午前10時にパリ郊外で落ち合う予定の新しい日産370Zは、ドアの外でわたしを待っているポルシェ・ケイマンを脅かすほどよくできたクルマなのだろうか?

30分後、すでにさんさんと照りつける陽の光を受けながら、わたしはがらがらに空いたM23号線を北に向かっていた。どんなタイプのクルマであれ、天気のいい早朝にがら空きの道を走るのは気持ちのいいものだが、相棒がケイマンとなるとまた格別だ。

操作に対する反応が実に親密な、本当にピュアなマシーンなので、ポルシェが自分のためだけに用意したビスポークのようにさえ感じられてくる。このクルマに乗るといつもそうだ。

しかもこの2世代目の新型はすべての面においてリファインされており、一段とスムーズになっているのが実感できる。タイヤノイズの侵入が少なくなり、サスペンションのがさついた作動音もほとんど聞こえない。ただ、それと引き替えに主要な操作系、特にステアリングから伝わる情報が弱まっており、その点だけが惜しまれた。

それに気がついたとき、ある恐ろしい考えが頭をよぎった。もしかしたらポルシェのエンジニアは、先頃911で踏んだ轍をケイマンでも歩んでしまったのかもしれない。あまりにも万人向けのクルマとして洗練を進めすぎてしまい、その途中でポルシェとしての魂をどこかに忘れつつあるのではなかろうか。いや、そう断じるのはまだ早すぎるだろう。

けれど、もし本当にそうだったとしたなら、今回の対決は370Zの圧勝という結末にもなりかねない。もっとも、それすら日産がポルシェと同じ過ちを犯していないという仮定のうえでの話でしかないのだが。

 
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