[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

ポルシェ911 GT3 RS マン島TTコースの地で味わう比類なきコース、比類なきクルマ

2018.06.03


ポルシェ911GT3 RSで走るための心構え

想像して欲しい。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのコース長を21kmから60kmに拡大して、中速コーナーを高速コーナーに置き換えて、高速コーナーをうねりが伴う全開区間にしたら、どんなことになるか。さらにそのコースは気候変化に富む山岳地帯に落とし込まれ、路面には砂が浮いていて、カント(バンク)が次々変化し、無数のブラインドコーナーが連続する。ベンチや街路灯、民家の外壁など、サーキットとして見たら危険な障害物が点在する場所を、可能な限り速く走り抜けるのだ。

コース沿いの信号機の土台付近に、衝突に備えて緩衝材を設置している場面を見た時、鉄柱部分が充分に巻かれていないのが理解ができず、同行していた仲間に聞いてみた。

「ああ、あれはライダーを守るために巻いているんじゃないよ。信号機を守るためさ」

間違いなく、今まで運転してきた中で一番過酷な環境といえそうだ。こんな場所で、バイクを全開で走らせるなんて、わたしの想像の範囲を超えている。

そして極上に素晴らしいポルシェ911GT3 RS。

これまでの経験を踏まえても、コースを楽しめるのか、少し不安だった。

タイヤはダンロップ・スポーツマックス・レース2を履いている。温まるまでは恐ろしい感触だったが、徐々に温まるにつれて走りに夢中になっていく。だが突然の雨で、また恐怖を感じることとなる。とにかくわたしが望むのは、乾燥していて、空いた、丘陵地帯に広がる道だ。

速度制限のない、今までに見たこともないような素晴らしい道を、新しいGT3 RSでドライブするという経験は、幸運が重なったようなものだった。そこで過ごした感触は、原稿を書いている今でも、わたしの手にまだ薄っすらと残っている。

 
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