ロードテスト スバルXV ★★★★★★☆☆☆☆

公開 : 2018.07.08 10:10

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り ★★★★★☆☆☆☆☆

スバルはXVにディーゼルを設定せず、ガソリン自然吸気ユニットのみのラインナップとした。今回はそのうち強力な方をテストに供したが、それでもトルク不足は否めない。加えて、トランスミッションはCVTのみ。経験上、この手の無段変速機は、トルクのあるエンジンと組み合わせるとまずまずレスポンスが良いと感じられるようになるものだといえる。XVのパフォーマンスは、その性格を劇的にシフトしたが、この変化が歓迎すべきものとは思えない。

2012年を振り返ろう。われわれは先代XVの2.0dグレードをロードテストの俎上に載せたが、しゃかりきにならなくてもいいエンジンを積んだ、好ましい力強さと職人気質を感じるクルマだった。新型には、そこまでの深みがない。走らせてみると、残念なくらい遅い。それはドライバーの絶対評価だけでなく、同じ価格帯のクルマと比較した相対的評価でも同じことが言える。

たとえば、3万ポンド(約450万円)近いクルマで、0-97km/hタイムが10秒以上というのはいただけない。似たような価格のT–ロックなら7秒を切るし、その価格帯のディーゼル車でも8秒半といったところで済む。

しかし、その残念なパフォーマンス以上に深刻な問題がある。パートスロットルでの、エンジンとギヤボックスの協調だ。

幸いにもスバルのCVTは、わずかなスロットル操作のたびに回転が跳ね上がるような類のものではない。だが、まるでドライバーとメカニズムの間に、5cmほどのシロップの層でも挟まっているのではないか、と思えるような感覚が終始続く。そして、絶え間なくドライバーの気勢を削ぎ、クルマの応答性は損なわれっぱなしだ。マニュアルモードを選べば、多少は満足のいく加速に近づけ、やる気を保つこともできるが、DCTはいうまでもなく、トルコンATのパドルシフトほどでもない。

では、そのCVTは2.0ℓエンジンから賞賛に足る燃費を引き出せるのだろうか。それがそうでもない。少なくとも、クロスオーバーの一般的な水準には届かない。100km/h前後をキープしてのハイウェイ巡航では、14km /ℓにも届かない。そこそこ活発に走らせようとスロットルを踏み込めば、10km /ℓ近い数字へと恐ろしいほどの落ち込み方を見せる。

テストコース

アルプスの峠道がごときミルブルックのコースに、XVは適したクルマではなかった。そのパワートレインにとって、長い勾配で速度を上げる、もしくは維持することは容易ではないのだ。

CVTをDレンジに入れておくと、エンジンはほぼ常時6000rpm近くで回り続け、安定してコーナリングするには早めのブレーキングが必要なほどのイナーシャが発生する。マニュアルモードなら状況は多少改善するが、最も急勾配の上り坂で加速するには2速まで落とす必要がある。

ハンドリングは、もっと良くてもいいはずだ。XVよりグリップもコーナリングの粘り強さも優れる小型クロスオーバーはあるが、このクルマが真に二面性を追ったクルマであることを考えれば、素晴らしい安定感を発揮すると言える。ボディコントロールはロールが大きめだが、横荷重が高まってもステアリングの確かさを保てるほどにきっちりと抑えが効いている。また、スタビリティコントロールの介入は控えめだ。

T6への上り坂ではトルクが足りず、2速まで落とさなければ回転が落ちてしまう。

パワートレインは、T7で大きくジャンプするほどスピードを乗せることはできない。そうなっても問題ないだろうサスペンションを備えているだけに、残念でならない。

きついコーナーでは大きくロールするが、グリップレベルやハンドリングバランスをひどく崩壊させるほどではない。

発進加速

テストトラック条件:乾燥路面/気温9℃
0-402m発進加速:17.7秒(到達速度:133.1km/h)
0-1000m発進加速:31.5秒(到達速度:168.0km/h)

フォルクスワーゲンT–ロック2.0TSI 190SEL 4モーションDSG
テストトラック条件:湿潤路面/気温2℃
0-402m発進加速:15.4秒(到達速度:146.6km/h)
0-1000m発進加速:28.8秒(到達速度:177.5km/h)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温9℃
97-0km/h制動時間:3.36秒

フォルクスワーゲンT–ロック2.0TSI 190SEL 4モーションDSG
テスト条件:湿潤路面/気温2℃

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