ホットハッチ頂上対決 ルノー・メガーヌRS 280カップ vs ホンダ・シビック・タイプR

公開 : 2018.07.22 09:10  更新 : 2018.07.22 09:14

新たなベンチマーク 基本的な部分に不満

しかし、メガーヌの例外的ともいえるハンドリングの優れたバランスと鋭敏さが、四輪操舵だけで実現されたものでないことは、100km/h超のコーナリングでも、その絶妙な鋭さと落ち着きが損なわれないことが証明している。このクルマに相応しいフラットな路面で見せる、コーナリング中の落ち着きだけでも、メガーヌがホットハッチの世界に新たな動力性能のベンチマークを打ち立てたことは明らかだろう。

では、メガーヌは、現在ホットハッチ界の頂点に君臨するホンダシビック・タイプRを、その座から追い落すに十分なモデルだろうか? ルノーからホンダに乗り換えると、シビック・タイプRの完ぺきな仕上がりを前に、メガーヌのハンドリングに対する確信が徐々に薄らいでいく。


基本的な部分からシビックはメガーヌを凌いでいる。シートはメガーヌよりもしっかりと背中を支え、ポジション自体も適切で、計器類も見やすい。ルノーの場合、その高過ぎるペダル位置や、リーチに対する調整幅が不足しているステアリングコラム、さらには、メータークラスター中心に設置されているはずのデジタル回転計すら、シートとステアリング中心からは数cmオフセットしているのだ。

ステアリングコラム全体がオフセットされているよりは、メーターオフセットのほうがまだマシだと思えるが、欧州のメジャーな自動車メーカーのなかで、こんなことをしているのだルノーだけだろう。

ほんの数m運転しただけで、ホンダがその熟練の技をこのクルマに注ぎ込んでいることが分かる。ラウンド形状のアルミニウム製シフトノブの感触は、メガーヌよりも優れており、ルノーのややダイレクトさとスムースさに欠けるシフトに比べて、その動きは滑らか、かつ正確でもある。ペダルの重みもホンダの方が適切で、ブレーキもコントロール性に優れる。

メガーヌのステアリングが軽すぎて、そのままではフロントアクスルが路面を捉えた感覚がやや掴みづらいような場面でも、シビックでは、その適切な重みと感触のステアリングが、ドライバーに自信を与えてくれる。

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