初試乗 アウディTT Sクーペ、マイナーチェンジ 誕生から20年、変わらぬ魅力

公開 : 2018.07.23 10:40


どんな感じ?

卓越した走行パフォーマンス

余計な気疲れもなく、欠点も見つからないけれど、過剰なドラマ性もない。至ってアウディ流なところがとても好ましい。今回アウディTT Sを試乗した場所は、TTレースでも有名なマン島。一般車両を封鎖した山岳路も含まれており、このクルマの強みを確かめるのにはピッタリの場所だった。

今まで来たことのないチャレンジングな道を、恐怖心なく速く走るなら、4輪駆動で300ps以上を誇るアウディTTこそが適役だと思う。通常のクルマなら60km/hくらいが適切な速度域のコーナーを、倍近いスピードで走っても快適性は損なわれない。2速にまで落とすヘアピンカーブでは、強いトラクションを保ったままターンし、5速をキープして抜ける高速コーナーでも、怯える必要はない。


エンジンはパワフルだし、ブレーキにも不満は感じられない。TT Sのグリップが抜ける前に、マン島の路面がタイヤの熱で焼かれてしまいそうだ。この、極めて簡単に楽しめる高次元の走行パフォーマンスを凌駕できるのは、さらに活発なTT RSくらいだろう。

卓越した走行パフォーマンスは間違いない反面、TT Sの課題は、ニュアンスや感覚の繊細さに欠けるというところ。アウディ全般にいえる悩みだけれど。極めて感覚に優れたポルシェケイマンや、ワイルドな雰囲気さえ漂うジャガーFタイプなどと比べると、指摘せざるを得ない部分だと思う。

腕利きのドライバーにとっては、鮮明とはいいにくいブレーキやステアリングのフィーリングからは、大きな喜びは得られないだろう。激しくプッシュすれば、それだけ速く走れるものの、スポーツカーに期待する走行パフォーマンスから得られる満足感は、残念ながら希薄だといえる。

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