お手頃ベストドライバーズカー選手権2018 2ndステージ ことしの覇者決定

公開 : 2018.09.09 07:40  更新 : 2021.03.05 21:37

メガーヌR.S. 280 公道ではカップ仕様がアダに

さらに、マット・バードはドライビングモードに苦言を呈している。「どちらのステアリングも好きにはなれなかった。弾性が強すぎるし、つねにセンターに戻ろうとする」

フォードが作り出したダイナミクス性能は、公道上では素晴らしい効果を発揮するものの、サーキットでは足手まといとなっている。95%までは素晴らしいものの、最後の5%で折角の輝きを失わせてしまうのだ。それでも依然としてドライビングを楽しむことはできるが、サーキットでのこのクルマは、限界一歩手前の方がより素晴らしいフィールを味わわせてくれる。

決勝戦に残ったなかで、最も安価で最も小さいパワーのクルマから、最も高価で、最もパワフルなルノー・メガーヌR.S. 280へと乗り換えてみた。このクルマに寄せる期待はフィエスタ同等のものがあるが、フォードが新型フィエスタで並外れたレベルへの期待に応えてみせた一方で、ルノーはそれに失敗している。

しかし、それも惜しいところでだ。ソーンダースなどは、ベーシックなスポールであれば、カップシャシーよりも良い評価を得ることができたかも知れないと言っている。

「スポールとカップ双方を運転したことがあるのはテスターのなかでは自分だけだが、カップ仕様は公道ではあまりにも硬く引き締められ過ぎたために、路面不整への反応は過敏で、バンプステアーにも弱く、ディフェレンシャルを積んだモデルでは路面状況にも影響されやすかった」

「このモデルでは、基本的な落ち着きよりも速く走ることを優先しているのだ。一方、スポーツ仕様のしなやかさとプログレッシブなダンピング設定には魅了された」


メガーヌのこの妥協なきセットアップが意味するのは、もちろん、このクルマがサーキットで光り輝くモデルだということだ。ドライバーの求めに応じ、速く、ドライビングを楽しむことができ、機敏でコントロール性に優れるが、そんな時でも安定性と安心感を失うことはない。

実際、本物のサーキット向けホットハッチはこのメガーヌだけであり、ドライバーが攻め込むほどにさらに素晴らしく、その運転に応えてくれるのもこのクルマだけだ。

それでも、われわれは態度を保留することにした。例えば、ブリヂストン・ポテンザは徹底的なパフォーマンスタイヤというよりも、パフォーマンス・オールラウンダーとでも呼ぶべきタイヤだったからだ。フォルクスワーゲン・ゴルフRにこそ相応しいようなタイヤであり、完全なパフォーマンスタイヤであれば持っているはずの正確性と極限のグリップというものが欠けていた。

メガーヌの四輪操舵システムもまた興味深い存在だった。48km/h程度の速度や、他のモードでの動きとは違い、レースモードでは100km/h以下までの速度でリアタイヤにはフロントと逆位相の舵角が与えられるが、これが意味するのはメガーヌが2速や3速で通過するようなコーナーでは、これこそがラップタイムを削り取る最後の切り札になるということだ。

しかし、このシステムのせいで路面状況が伝わりにくくなっているとバードは指摘している。「新型は先代ほど信頼することができるモデルではない」

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