ロードテスト ポルシェ・カイエン ★★★★★★★★☆☆

2018.09.15

 

はじめに ▶ 意匠と技術 ▶ 内装 ▶ 使い勝手 ▶ 乗り味 ▶ 購入と維持 ▶ スペック ▶ 結論

走り ★★★★★★★★★☆

ステアリングホイールの細いリムを握って走り出してみての第一印象は、最新のBMW M5並みのテスト値を叩き出すと思わせるものだった。とはいえ、当然ながらその両者には開きがある。0-161km/hと48-113km/hのタイムは9.3秒と5.9秒で、M5は7.5秒と4.0秒だ。とはいえ、これは2307kgもあり、路面からずっと離れて座らされるクルマだ。となれば、その速さには驚くべきものがある。

もっとフェアな比較をするなら、相手はレンジローバー・スポーツSVRあたりだろう。マイナーチェンジ前の550psバージョンは、カイエンターボと同じパワーで、10.3秒と6.4秒をマークしている。不満に思うのは、カイエンの華やかさやサウンドのエキサイティングさが、スーパーチャージャーのレンジローバーほどではないことだけだ。

唐突な減速ぶりは、大げさに表現した速度の上がり方と同じくらい強烈だ。フロントのブレーキはカーボンセラミック・ディスクが415mmもの直径で、それを掴むキャリパーはなんと10ポット。113-0km/hの停止に要する距離は44.5mで、レンジスポーツSVRより短く、ノーズダイブも最低限だ。この強烈なブレーキング時に見せるスタビリティと予測しやすい性質があるからこそ、エンジン性能をためらいなく全開にできるのだ。

ほとんどの場合、ZFの8段トランスミッションは変速を感じさせないほど滑らかで、このクルマのキャラクターにはデュアルクラッチよりマッチしている。それでも、ひどく活発さに欠けるレスポンスと、郊外を走るような速度域でノーマルモードのままにした際の控えめなギアセレクトを指摘するテスターもいた。例えば車間を詰めたいときなどは、左側のシフトパドルを操作しなければならない。スポーツクロノ・パッケージ仕様ならば、ノーマル/スポーツ/スポーツプラスの3モードが設定される。さらにスポーツ・レスポンスのボタンを押せば、20秒間のみパワートレーンを一触即発の状態に持ち込めるが、その場合は高回転域で、ほとんどわからない程度ながらターボラグが発生する。

長距離走行の資質は申し分なく、ツーリング燃費は11.2km/ℓと、4.0ℓV8ツインターボを積む2.2tのSUVとしては十分に満足できる。燃料タンク容量は90ℓで、スロットルオフ時にエンジンとトランスミッションの接続を遮断するコースティング機能の助けもあって、巡航時の航続距離は1000km強に達する。

テストコース

あるテスターは、ミルブルックのヒルコースで乗ったカイエン・ターボを、これまで乗った中で「もっともあぶないクルマ」と評した。なにしろ2.2tの巨漢でありながら、路面のキャンバーも勾配もおかまいなしにグリップし、前へ進もうとするのだから。

4.0ℓV8ツインターボが放つ極太のトルクは、このコースのテクニカルなストレートも、不気味なまでに制圧していく。傾斜角や選択したギアを問わず、凶暴なまでの勢いで坂の頂上まで駆け上がるのだ。

急カーブや突然の凹みや溝のようなくぼみがいたるところにあるコースだが、それさえカイエンのスタビリティコントロールの前では優秀さの引き立て役に回る。素早く縮むダンパーや迅速な荷重移動との協調ぶりも上々だ。

T2へのアプローチで、カーボンセラミックブレーキはカイエンの重すぎるウェイトと途轍もないスピードをこともなげに抑え込む。

T3やT4を抜けた後では、サスペンションのトラベルをほぼ使い切るくらい沈み込むが、その間もほぼ不安はない。

コースの最高地点であるT6に向けたアプローチも、78.5kg-mの大トルクで軽々と駆け上がる。

発進加速

テストトラック条件:乾燥路面/気温21℃
0-402m発進加速:12.5秒(到達速度:185.7km/h)
0-1000m発進加速:22.7秒(到達速度:238.0km/h)

レンジローバー・スポーツSVR(2015年)
テストトラック条件:乾燥路面/気温11℃
0-402m発進加速:12.8秒(到達速度:179.3km/h)
0-1000m発進加速:23.2秒(到達速度:227.1km/h)

制動距離

テスト条件:乾燥路面/気温21℃
97-0km/h制動時間:2.78秒

レンジローバー・スポーツSVR(2015年)
テスト条件:乾燥路面/気温11℃

 
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