[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

試乗 メルセデス-AMG E53クーペ Eクラスらしいロングツアラー

2018.10.05


どんな感じ?

欲求不満になってしまう走り

路上では、まるでフェラーリ550マラネロのように速い。見た目はだいぶ違うけれど。そう感じさせるのは、スロットルレスポンスによるところが大きい。電動モーターのアシストが入るから、同等のシャープさがあるわけではないが、雰囲気は似ている。

ハイブリッドシステムを搭載するクルマの多くは、走り始めは電動モーターがレスポンスを高めるものの、エンジンが活発さを増すに従って切られる。しかし、E53クーペの場合は異なり、間髪入れずに蹴り出す準備が常に整っている印象だ。

このクルマに搭載されるのは、AMGらしく熱くチューニングされたV8ではないから、中には残念に思うひともいるかもしれない。ほとんどの場面で後輪駆動となるが、比較的頻繁に前輪へも駆動力は伝達される。E63のように、任意で後輪駆動に切り替えることはできない。

ESP(スタビリティコントロール)の介入は積極的で、クルマを自由に振り回すことは難しい。かなり思いきったステアリング操作をしない限り、安定的なラインを維持しようと務める。もしスロットル操作でノーズの向きを変え、テールスライドに持ち込めるようなモデルを探しているなら、このE53は選ばないほうが良いだろう。

車重がドライバーの体重抜きでも1900kgもあるためか、クルマの進路変更の挙動は、デリケートというよりも安全志向。加えて、9速ATもレッドゾーンの6700rpm近くの回転数でシフトチェンジをしようとすると、躊躇するきらいがある。エンジンのサウンド自体は気持ちをかき立てるものただけに、期待も高まるのだが、やや欲求不満に陥ってしまう。

おそらくE53が目指しているポイントは、別のところにあるのだろう。

 
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