[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

受け継がれる跳ね馬の血統 フェラーリF40 vs F430スクーデリア 回顧録

2018.10.07

F40を借り出す

もちろん、マクラーレンF1やブガッティ・ヴェイロンなどの、F40より速いスーパーカーの存在を忘れたわけではない。しかし、これらすべてのクルマを運転した経験を持つ幸運な人なら、その多くがやはり20年前のフェラーリF40がいちばんだと指名するはずである。

この2台が顔合わせするステージには、フェラーリのスペシャリストであるボブ・ホートンがホームグラウンドにしているコッツウォルズの丘陵地帯を選んだ。ここ英国においてF40の権威と呼ぶべき人間が存在するとしたら、現在F40を9台を所有して入念にメンテしているボブ以外にはありえない。

われわれがこの記事のために借りてきた個体は1989年式で、見事なコンディションだがほぼ3万2000km近くを走行していた。ボブはこのF40を「きわめて程度良好の個体だ」と保証してくれたが、ブレーキパッドに関してはそうでもなさそうだった。

早朝の日差しの中、わが家からワイ・バレーに向けて3000万円オーバーのスクーデリアを走らせると、「市販車のなかでもっともエキサイティング」とフェラーリが言うのもなるほどうなずけた。

そのパワーのほとんどは発揮されないままになるのだろうが、もし8500rpmまで吹け上がるエンジンと、恐ろしく機敏なギアシフトとを体験するというきわめて希少な機会に恵まれたなら、そのあまりの凄まじさにはもはや意味もなく笑うくらいしか対応のしようがないだろう。

 
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