[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

受け継がれる跳ね馬の血統 フェラーリF40 vs F430スクーデリア 回顧録

2018.10.07

車重とエンジン特性の差

しかし、ここにひとつ大きな違いがある。スクーデリアの車重はわれわれの実測で1405kgと、現代の公道スポーツとしては十分に軽い。ところがF40はそれよりはるかに軽い、わずか1100kg前後に収まっているのだ。

スクーデリアの510psという最高出力は一見するとF40の485psよりもかなり有利に見えるが、しかし馬力荷重比に換算すると実は差は縮まるどころか逆転しており、スクーデリアの378ps/tに対してF40はなんと441ps/tなのである。

加えてF40には、ターボエンジンならではの圧倒的なトルクが備わっている。ひょっとすると、弊誌シニア・ロードテスターのジェイミー・コースターフィンがケンブル飛行場の周回路をF40で高速走行したときに、一時的に会話できなくなってしまったのは、この強大なトルクで全身をシートに押しつけられたのが原因かもしれない。

カーボンファイバー製のサイドシルをまたいでレーシングシートに座る。ハーネスを締めてキーを回し、そして小さなゴム製のボタンを押して、もともとはフェラーリがランチアのグループCレースカー用に開発した2.9ℓのツインターボV8を始動する。アイドリング時でさえそのエンジン音はひどく威嚇的だ。

インストルメントパネルはわたしの知っている限りではもっともプレーンに属するもので、ダッシュボードを覆っているのはフェルト程度しかない。6本のゲートが露出しているギアシフトには鋼鉄製のロッドが突き刺さっており、その先端には黒いボールが取りつけられている。それを(普通のレイアウトとは逆に)手前に引くと、前進5段ギアの1速に入る。恐ろしく重いクラッチペダルを戻してクラッチをつなぐと、F40はおもむろに動き出す。

 
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