[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

受け継がれる跳ね馬の血統 フェラーリF40 vs F430スクーデリア 回顧録

2018.10.07

合法的レーシングカーと量産モデルの違い

1速のギアにリンケージされているこの時点で、思いっ切りアクセルペダルを踏み込もうなどと思ってはいけない。2速でも道路がスムーズかつドライのストレートでない限りやめておいたほうが賢明だ。

3速にシフトアップし、回転数を3000rpmくらいにして、そこで初めて右足を思い切り踏み込む。爆発的な轟音と底知れない加速が始まる前に、ほんのわずかなだがターボラグがあることに気づくだろう。

しかし、ただ速いだけでは、F40は決してドライバーを今日まで魅了し続ける存在ではいられなかっただろう。実際、F40の真の魅力はエンジンにあるのではなく、むしろステアリングの流儀とそのフィールにこそあるのだ。20年が経過した今なお、F40はその魅力を失ってはいなかった。

これと比較されるなんて、スクーデリアにとってはいささか酷な試練かもしれない。しかしこのクルマの持つ強みは、たとえF40に長時間乗って魅了されたあとでも、それにより魅力が色褪せてしまわないという事実にはっきりと表れている。それどころか、多くの分野でこのスクーデリアの走りはF40に肉薄しているのだ。価格が当時のF40よりもはるかに安いという理由を抜きにしても、スクーデリアのほうがより高みに到達していると結論付けられるかもしれない。

合法的に公道を走れるレーシングカーと主力商品となる量産モデルが、まったく性質を異にしたクルマになるのは当然だ。F40はケブラーやカーボンファイバーなどの贅沢な素材をまとってはいるものの、レーシングカー同様、基本的な造りは非常にシンプルなスペースフレーム・シャシーだ。

 
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