AUTOCARロードテスト90周年(2) 初のテスト車/現代ハイパーカー比べてみた

公開 : 2018.12.15 11:40

そろ盤 vs コンピュータ

すぐにバカバカしく思えてきた。あまりにも違い過ぎる。まるで、最新コンピュータの手を借りたデザインと洞窟壁画の比較であり、そろ盤と21世紀の航空機に積まれた電子機器の対決だ。それでも、オースチンはかつてAUTOCARがテストしたモデルであり、セナはいまテストを進めているモデルではある。

もちろん、1928年に登場したベントレー4½ リッターを選ぶこともできた。このクルマの最高速は当時の平均的なモデルの2倍であり、華奢なタイヤにドラムブレーキを組み合わせ、4気筒エンジンを積んで最高速148km/hに達していた。だが、1928年にこのクルマのロードテストは行っていない。

どちらのモデルから先に運転するべきだろう? オースチンが先であれば、実際以上にセナを速いモデルだと感じ、セナを先に試してみれば、セブンをよりちっぽけなモデルだと思うのだろうか? 少なくとも、ロードテスターとしてはセナを先に運転すべきだろう。現代に生きる人間として、バカバカしいかも知れないがハイパーカーのパフォーマンスに魅せられているのだ。セナの超弩級の加速にも次第に慣れ、オースチンよりも普通に感じるだろう。


実際、最初に安全な路上でその800psのパワーを試そうとしたときには、それほど手強いとは思わなかった。ストレートでなければアクセルを目いっぱい踏みつけることなど出来ないし、その場合も免許証の点数を気にしないわけにはいかないが、フルスロットルでもセナはどうにかコントロール出来そうな気がした。

だから、もう少し試してみることにしたのだ。トラクションコントロールをオフにして、再び全開加速してみると、すぐに大混乱に陥った。加速そのものは変わらないが、メーターパネルは異なるカラーで点滅し、リアから奇妙な音が聞こえたかと思うと、直進しているだけにもかかわらず、突然ステアリングをしっかりと握りしめなければならなくなったのだ。

その時、ロードカーとしてはこれまでで最高のグリップを誇るタイヤが、その粘り気のあるゴムを削っていたのであり、キャンバー付きの荒れた路面のせいで、セナのリアタイヤが何とかグリップしようと必死にもがいているのが伝わってきた。今回テストした場所では、こんな状態が1速、2速、そして3速に入ってもしばらく続いていた。

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