AUTOCARロードテスト90周年(2) 初のテスト車/現代ハイパーカー比べてみた

公開 : 2018.12.15 11:40

常に忙しいモデル

最初に言っておかなければならないが、わたしの身長は191cmあり、窮屈そうに見えるかも知れないが、このクルマのドライバーズシートは非常に快適だった。4人乗車でもセナと同じラゲッジスペース(実際にはゼロだ)を確保しており、その車重はアリエル・アトムよりも軽い。

このクルマの747ccエンジンを手回しでクランキングするには指を痛める危険があるが、床に設置された小さなボタンを使えば、より簡単にこの作業を行えることを発見した。そうすれば、現代の自動車よりもはるかに簡単にエンジンに火が入る。調子が良くてもこの4気筒エンジンのパワーは11psほどであり、セナのエアコンを稼働させることもできないだろう。もちろん、セナにエアコンが装着されていたとすればだ・・・。

キャビン自体は現代のモデルとそれほど変わらない。このクルマのアクセルペダルは当時主流のセンター配置ではなく、現代のモデルと同じようなレイアウトを持つ最初の主要な量産モデルだった。それでも、このクルマを運転するには学ぶべきことがある。ギアボックスは3速であり、シフトは右から左へと操作する。シンクロメッシュが備わっていないため、シフトチェンジの際にはダブルクラッチが必須であり、ダウンシフトの際には、大きくアクセルを吹かす必要がある。しかし、これまでこのクルマ以上にヒール&トー向きではないペダル配置のレーシングカーを数多く運転したことがある。


それ以外は特に難しいことはない。唯一の問題がブレーキであり、ペダル操作ではリアのドラムだけが作動し、リアブレーキだけで停車しようと思えば、かなりの制動距離が必要になる。スピード調整以上の減速が必要な場合、フロントのドラムを作動させるハンドブレーキを使用する必要があり、そうすれば、この控え目な性能のセブンを思い通りの位置で停車させることができる。ジョンによればこのクルマの最高速は64km/h程度とのことであり、つまり、少なくともふつうにペットとして飼われている犬よりは速いということだ。

こうしたすべてがこのクルマの運転を興味深いものにしている。その軽さによって、進路変更では誰よりも活発な姿をみせるとともに、路面との繋がりを感じさせてくれる。そのステアリングは、現代のどんなモデルよりもカートに近いフィールとダイレクトさだ。さらに、すべてのシフト操作でタイミングを合わせ、減速には手と足での操作が必要となることから、ドライバーは常に忙しく、退屈している暇などない。

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