[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

中古のアウディR8 vs 新車のゴルフR 比較テスト 高級クォーツと機械式クロノ

2018.12.15

別格の存在感 その功績はいまも

移動速度だけをとってみればゴルフの勝ちかと思っていたが、今回走った道ではそうでもなかった。両者とも、カギとなるのはエンジンパワーやタイヤのグリップではなく、外的な要因だったのだ。

ゴルフのほうがすこし不安定に感じたのは、わずかに短いホイールベースよりもクイックなステアリングが主因だろうが、直線ではそんな弱点も気にならない。

ゴルフはトルクの絶対値こそR8に劣っても低回転から引きだせるし、R8はピークパワーで優るがしっかり回さないと発揮できない上、わずかに大きい車重で帳消しになる。ゴルフの融通無碍なターボエンジンはどの回転から踏んでもしっかり応えてくれるのだ。

もっとも、わたしの目にはR8は別格に映った。たしかにこのゴルフもクラス随一の最高の出来栄えを誇るが、それでも大量生産の実用車にはかわりない。

たとえるなら高級クォーツ腕時計みたいなもので、手づくりの精巧な機械式クロノグラフよりもたしかにより正しい時刻をつたえてくれるだろうが、いったん手首につけてしまえば気にもとまらなくなるたぐいのものだ。


それに、今回乗ってみてもうひとつわかったことがある。このゴルフだけでなくR8デビュー当時のライバルたちとの対比でも、R8のあらたな面が浮き彫りになったのだ。

かつてはもしこの稼業で成功したら何に乗ろうかと空想したとき、997世代の911や初期のアストン マーティンV8ヴァンテージをよく思い描いた。だが、R8などついぞ出たことはなかった。

宗旨替えしてもうR8しか見えなくなったというわけではない。スーパーカーがはじめてのメーカーがいちから作りあげたこの新顔が、それら名門の出とまったく対等の位置にまで浮上してきたということだ。それこそ、R8いちばんの成果ではないだろうか。

 
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