公道はおまけ? サーキットマシン対決 M3 GTS対911 GT3 RS 回顧録

2019.01.03

サーキットを意識したエンジン

エンジンは始動してすぐに、ほかのどのM3とも違うサウンドで気持ちを高めてくれる。アイドリングでは高級感にあふれた低音の鼓動に重なって頭上からかなり賑やかなざわめきが聞こえ、そして軽くブリッピングすると4.0ℓエンジンより数段素早い反応が返ってくる。

いかにもレースを戦うために組み上げられたエンジンのそれであり、どう考えても公道だけを念頭に置いて設計されたものではあり得ない。

だが、その先入観は多分に幻想のなせる業で、実際に走り出したら決してノーマルのM3に比べて粗っぽさを感じさせるエンジンではないことがわかる。確かに広がった回転域に伴って、もしかすると不快に感じるかもしれないほど音量が強烈になっているのは否定できないが、低回転域でもギクシャクしたところはなく、高回転型のカムに予想されるようなトルクの停滞域もまるでない。

アイドリング時の粗暴さはいったいどこに行ってしまったのかと拍子抜けする瞬間だが、実はコンピュータ制御によって、実際には存在している感覚的なマイナス点を、あたかも何も起こっていないかのように感じさせる演出がなされているのである。

 
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