回顧録 スーパーカー対決 フェラーリ458 vs マクラーレンMP4-12C 後編

公開 : 2019.01.25 18:10

常に楽しめるフェラーリ

458の乗り味に落ち着き感は薄い。ステアリングは切り始めからダイレクトだ。しかし、過給器の支配を受けないエンジンはワイルドで素晴らしい。

スロットルレスポンスは、この世のどんな市販車にも勝り、官能のエグゾーストノートなど、もはやターボカーのマクラーレンにとっては夢のまた夢。無論、ツインクラッチトランスミッションも一級品。どこをとっても、MP4-12Cに勝るとも劣らない。

純粋に主観で語るなら、数字に出ない感覚的な領域で印象的だったのは458だ。客観的に見ても、どのライバルにも引けをとらないと思う。この場合の「客観的」は、ステアリングやハンドリング、ロードホールディング、それにコミュニケーション能力などを含めてのこと。

なぜなら、これらはすべて感覚ではなく、定量化できる要素だからだ。その尺度の上では、やはりこのV8フェラーリは恐ろしくよくできたクルマだと評して間違いはない。正気を保ったレベルの速度域であれば、こちらのほうが容易にニュートラルステアでのコーナリングに持ち込める。

それは操作性のいいブレーキとシャープなスロットルレスポンスのなせる業だ。マクラーレンが実力の片鱗すら見せないようなレベルのシチュエーションにおいても、フェラーリは魅力的で、つねに楽しみを与えてくれる。

確かにMP4-12Cのペダルフィールは、かすかなターボラグはあるものの始終落ち着きに満ちていて、ムラがなく速いコーナリングを可能にするが、そこに充実感は希薄だ。

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