回顧録 マクラーレンF1 GTR vs MP4-12C エンジニアリングの傑作

公開 : 2019.02.01 07:40

GT3バージョンも期待

MP4-12Cが「スライドするかどうか」、そして「スライドするならいつか」を判断して行うスタビリティコントロールの介入する速度と程度のチューニングは、特にトラックモードではまだ進行中なのだ(ここで比較を行っているのは2010年12月時点の個体なのにご注意いただきたい)。

この日の終わりに近づいて、MP4-12Cに関する考えが少しずつ形を整えつつあった。このクルマはロードカーとしてはまだ初期の量産前バージョンでまだ開発の余地を残しているものの、それでも明らかになってきたのは、優れたレーシングカーの素質をも兼ね備えているということだ。それは単に今回MP4-12Cが伝説のF1 GTRに完勝したしたというだけの理由からではない。

しかし、そう考えているのはわたしだけではなかった。今回の比較テストから1週間後に、マクラーレンはGT3バージョンを製造する意思があることを発表。レーサーやジェントルマンドライバーがレースで走ることを、サーキット専用マシーンを造って真剣にサポートしようとしているのである。

マクギャリティのようなスーパースターが操るこのクルマを敵に回したら、まず絶対に勝ち目はないだろう。何故なら、F1 GTRが登場した当時に感じられたのと同様に、MP4-12Cは走り出した瞬間から勝利という言葉を予感させるものがあるからだ。

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