[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

回顧録 歴代911比較試乗 最新は最良なのか

2019.02.09

タイプ991カレラS(2012年型)

1998年に空冷から水冷に変更されて以降で最大の変革が911のスクリプトに起きた結果がこのモデルだとは、一見したところでは気づかないだろう。だが、それは事実である。

ほぼ半世紀近く引き継がれてきた外見はホイールベースの延長によって大きく様変わりし、電動アシストのステアリングと広げられた室内空間、それに豪華絢爛なインテリアを目の当たりにすれば、911が大切にしてきた約束事の優先順位は変更されてしまったのだとさえ感じられる。

だが、実際にタイプ991を運転してみれば、かなりハードに攻め込んでみても扱いやすく、そのうえ快適で静粛性も高い走りに、本来なら911で得られるはずではない、何か違う種類の体験がそこにはあるのだと気づくはずだ。これは911の歴史においてまさに初めての、本当の意味で出来がいいと言い切れる室内環境である。

しかし、それと同時に失われたものもある。クルマとドライバーと間にあった、生気にあふれた火花を散らす対話がそれだ。それこそが911の本質と考えている人も少なくないだろう。けれど、それは決して失われたのではない。目につかないところに隠されているだけなのだ。

本気で攻めれば、このクルマも間違いなく911なのだと、エンブレム以外でも明確に示してくれる。たとえばコーナリングでは、タイプ997の最終型以上に限界ぎりぎりの走りが可能だ。旧型よりもよくなっていると主張できるだけの論拠はほかにも十分に揃っている。

確かに電動アシストに代えられたステアリングからは、油圧式だった頃のフィールはもはや決して得られない。しかし、こちらも十分に優れている。これまで積み上げてきた911の基準に照らしても、そうであるとはっきり断言できる。

スペック

新車価格 1381.0万円
最高速度 304km/h
0-100km/h加速 4.5秒
車両重量 1415kg
パワートレイン 水平対向6気筒3800cc
最高出力 400ps/7400rpm
最大トルク 44.9kg-m/5600rpm
ギアボックス 7速MT
 
最新試乗記