スタビリティとアジリティを両立

さらに、スポーツステアリングも装着されている。これはポルシェの可変レシオ式ステアリングラックのようなものだが、X5などの上級車でお馴染みの、もっと洗練されたアクティブステアリングシステムよりもはるかに廉価な仕様だ。

中立位置付近の反応が落とされており、切り込んでいくとレシオが次第にクイックになってステアリングのダイレクト感が増していく仕掛けである。中立位置付近ではスタビリティを確保し、大きく操舵する場面ではアジリティを高めるわけだ。

BMWのエンジニアによれば、追って加えられるMスポーツ・モデル（通常モデルやアダプティブダンパー装備車とは違うスプリングを使っている）では、スポーツやスポーツプラスのモードを選んでもアダプティブダンパーほどには乗り心地が硬くならないそうだ。その理由は、アダプティブダンパー装着車とは違って、Mスポーツにはコンフォートがないからだ。

訳がわからない?　わたしもそうだ。わたしにわかったのは、自分が3シリーズに用意された全部のサスペンション設定を試してみたい好奇心にかられていることと、このアダプティブダンパー装備車のしっかりした乗り味がパッシブダンパー仕様でも得られるべきだと考えていることだ。端的に言って、それはじつに素晴らしかった。

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