共通するのはその魅力

この2台の違いというのはそれほど大きくはないのかも知れない。新たに2.0ℓガソリンエンジンを積んで、エントリーモデルとしての重要な役割を担うこのマカンと、EペースではトップモデルとなるP300 R-ダイナミック HSEをどこかの荒地で走らせてみれば、最初に気付くのはその共通点だろう。

ここ10年ほどの間に誕生した移り変わりの激しい高級SUV市場を手放しで称賛するのは難しいが、この市場の充実と、小型パフォーマンス4 x 4モデルの登場は喜ぶべき材料かもしれない。大柄なボディを持つハイパフォーマンスSUVとは異なり、マカンやEペースのようなモデルは、実用性を犠牲にすることなく、優れたドライビング性能を実現しており、十分に速いモデルでありながら、実際にその高い能力を公道で発揮することが可能でもある。

多少道幅に余裕のある英国のB級路であれば、マカンとEペースがそのボディを持て余すことはなく、ファミリーカーとしても使える実用性を備えつつ、決して大き過ぎないボディと、ほどほどの価格を併せ持つモデルでもある。つまり、この2台は誰にとっても魅力的なパフォーマンスSUVだということだ

キャビンに目を向ければ、ボディ全長の短いEペースのほうがマカンよりも狭く感じるが、だからといって、快適性まで劣っているわけではなく、例え背の高い大人であっても、基本的には前席、後席ともにマカンと同じくらい快適に過ごすことができる。

後席レッグルームが不足気味ではあるものの、ヒップポイントの高さがそれを埋め合わせており、リアシート座面のサポート性に関してはドイツのライバルを凌いでいる。だが、トランクスペースに関してはマカンの完勝であり、サイドウインドウから下のラゲッジ容量ではEペースを20%も上回る。

Eペースのキャビンのほうが高級な雰囲気を醸し出しているが、それも、今回のテスト車両がこのジャガー製小型SUVのトップモデルであり、一方のマカンがエントリーグレードであることを考えれば当然だろう。それでも、この事実に驚く人間がひとりかふたりはいるかも知れない。

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