氷点下のヒーロー比較試乗 フォルクスワーゲン・ゴルフR vs メルセデス-AMG A35

公開 : 2019.02.23 11:50  更新 : 2019.02.25 11:49

木曜日 午前10時43分:ホープ渓谷、ウィナッツパス

クルマを停めたのは、峠道よりも美しい場所だった。だが、実際には峠道は単に「通過」しただけなのだから、本当に「通過」するだけでよかったのかどうか、もう一度チェックしてみても良いかも知れない。

ウィナッツパスは、ピーク・ディストリクトを東西に貫く石灰岩の崖に挟まれたその距離わずか数kmのワインディングロードだ。スネークパスはここから北へ数kmのところにあり、南にほぼ同じ距離進めば、混雑したA623号線に辿り着くため、この場所をのんびりと走っているのは地元のクルマくらいしかいない。

もっと天気が良ければ、ここはわざわざ訪れるだけの価値を感じさせてくれるが、残念ながら今日はそうではない。まるで、天に置かれた冷蔵庫が空きっぱなしなって、この世界に覆いかぶさってきたかのように、空気には氷を含んだ霧がまとわりついている。

チェダー渓谷を除けば、ここは英国でもっとも印象的な峡谷であり、その岩肌をのぼるなどほとんど不可能なように、その美しさを完全に表現することなどできないだろう。


この道の始まりにある雪が積もって傾斜した駐車場は、Aクラスよりもゴルフにとって大きな問題だったが、それでもカメラマンのオルグンは狙った写真を撮影していた。だが、この2台は間違いなく自らの力でここまでたどり着いたのであり、スーパーミニやサルーンも、ピックアップや4 x 4モデルと同じくらいの実力を備えているということだ。

道幅の狭い対面通行のこの道を何度か往復した後では、この2台のどちらがより正確なハンドリングと安定性を感じさせてくれるかは明らかであり、それはA35だった。冬用タイヤがゴルフに対する大きなアドバンテージだったが、ゴルフよりも大胆なアクセルオンにも、がっちりと路面を掴んで離さない四輪駆動システムや、適切な重みとレシオを持つステアリングもさらなる安心材料となっていた。

われわれがこの場所を出発しようとしたとき、麓の凍結した路肩では、東ヨーロッパのナンバープレートを付けたトレーラーがスタックしようになりながらUターン場所を探しており、実際にUターンを試みたレンジローバーは完全にスタックしていた。

フロントタイヤの下に使い古したバスタオルを入れただけで、レンジローバーは十分なトラクションを回復したようだが、このゴルフとAクラスにそんな真似は必要なく、ゴルフRは歩くようなペースとは言え、立つこともままならない凍結路にもサマータイヤで見事な対応を見せた。

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