ロードテスト メルセデスAMG GT 4ドア・クーペ ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.04.20 09:50

結論 ★★★★★★★★★☆

「この麗しいハンドリングを備える4ドアGTで、AMGは物理法則を一蹴した」

妥協なきスポーツカーの要素を意図的に採り入れつつ、高級ハイパフォーマンス4ドアGTのレシピを拡げようとすれば、混乱や矛盾を招く。メルセデスAMGは、このGT63においてそうした結果を覆しただけでなく、この異端なジャンルにおける説得力のある方向性までも示してみせた。

みごとに安定していながら遊び心もあるシャシーは、既存のセダン用をベースに原型を留めないほど改良することで、おそらくは強力無比な4.0ℓV8に釣り合う相棒と呼べる、このクラスでも技術面で最高峰の域に達した。まっとうな道であれば、このGTの大きさを覆い隠し、堂々たる走りでドライバーを魅了する。ドライバーは自分だけでなく、クルマのポテンシャルも探りたい気持ちにさせられるのだ。これほど夢中にさせられる感じが、ここまで複雑なエンジニアリングによって生み出されたに違いないことは、まさしく偉業である。

それでも満点を取れなかったのは、クオリティでも実用性でもライバルに後れを取っているインテリアが理由だ。また、サウンド面の洗練性にも疑問が残る。だが、それらがツーリング性能の高い資質に落とす影はわずかで、これほどめざましい運動性能の前では小さな問題に過ぎない。

担当テスターのアドバイス

マット・ソーンダース

ダンパーなどのスイッチ類には、小さなディスプレイが配置される。これにより、セッティング変更の際に路上から目を逸らす時間がわずかで済む。これまでなら、まずはスイッチに目を落とし、そこから離れた表示部に視線を移して確認しなければなかったところだ。なかなかいいアイデアだと思う。

リチャード・レーン

スペック表やカタログでは伝わりきらないのが、走りとエンジンの卓越ぶりだ。パナメーラのほうがわずかばかり精密さで勝るデバイスだが、どちらを選ぶか問われたら、答えはポルシェではない。

オプション追加のアドバイス

オプションをどんどん乗せていけば、63Sとの価格差を超えてしまうことは十分にありうる。であれば、いっそはじめから63Sを選んだほうがいい。ときどきにでもサーキットを走るのなら、セラミックブレーキを装備することだけはお忘れなく。

改善してほしいポイント

・シフトレバー周りのデザインは修正してほしい。周囲から浮いているし、スイッチの見た目は洗練されていない。
・低速でのシフトチェンジをスムースにしてほしい。変速ショックはごくわずかだが、完全に打ち消すべきだ。
・カップホルダーは深いのだが、太さはもっと拡げたほうがいい。

関連テーマ

おすすめ記事

 
最新試乗記

メルセデスAMG GTの人気画像