[ABARTH 124 spider]なぜワクワクする?竹岡圭が検証

ロードテスト ジープ・ラングラー ★★★★★★★★☆☆

2019.04.21

走り ★★★★★★★★☆☆

ラングラーのような真のオフローダーにとっての優れたパフォーマンスとは、一般的なSUVの場合と意味合いが異なるものだ。石ころだらけの原野のど真ん中に放り出されたなら、太いトルクとリニアなスロットルほど重要なことはない。メルセデスが、サイズの近いオンロード向けSUVのGLCで追及するような、洗練されたサウンドやキレのいい変速など、そこでは二の次三の次だ。とはいえ、ラングラーをもっと一般受けさせようというなら、ジープはオンロードでのドライバビリティや洗練性もまた軽視することはできない。

そして実際に、FCAの2.2ℓマルチジェット-Ⅱディーゼルは、そのどちらもまずまず満たしている。これには、新採用の8段ATが貢献しているのも間違いないだろう。カリフォルニアの山岳地帯の曲がりくねったダートを安心して走れるよう設計されたハードウェアとしては、オンロードで驚くほどマナーのいいスムースな走りをみせ、ラングラーにデイリーユースできるという魅力をもたらしてくれるのだ。

確かに、普通に走っていると、可能な限り高いギアへダラダラとシフトアップしていく傾向がみられる。しかもスポーツモードの設定がないので、エンジンのスイートスポットを使い続けるにはマニュアルモードで2000〜3000rpmをキープする必要がある。とはいえ、それはまったく面倒な作業ではない。

0-97km/hの実測値が9秒フラットだったことを考えると、このディーゼルのラングラーはかなりレベルの高いパフォーマンスの持ち主だといっていい。なにしろ2017年にテストしたランドローバー・ディスカバリーTDV6のタイムは8.7秒で、それを排気量でもパワーでも下回りながら、加速性能では肉薄しているのだから。追い越し加速はかなり力強く、苦もなく先へ進む。5速での64-97km/hは5秒フラットで、ディスカバリーから1秒と遅れていない。

事実、このジープはパワーを手際よく路面に伝え、日々のドライビングではその少なからぬトルクが、2.1トンを超えるウェイトを紛らわせてくれる。走行中は、可変ジオメトリーターボチャージャーがターボラグを小さくさせる。ラングラー本来の用途を踏まえれば、トラクターっぽいのではないかと覚悟するところだが、このエンジンそのもののスムースさもあって、走りは予想を裏切り乗用車ライクだ。その洗練ぶりは、トランスファーを2Hに入れるとさらに高まる。この二輪駆動ハイレンジを選択することで、前輪ドライブシャフトの接続が切られて、不要なメカニカルロスによる緩慢さが目に見えて減少するからだ。

オフロードテスト


誰もが道なき道を行くためのルビコン仕様を手に入れるわけではないだろうが、それ以外でもやはりラングラーはずば抜けて高性能なオフローダーだ。どのグレードを選ぼうが、最大渡河深度や最低地上高、また3つのクリアランスアングルすべてで、メルセデス・ベンツGクラスやトヨタ・ランドクルーザーを凌ぐ。ランドローバー・ディスカバリーは渡河深度と地上高で上回るかもしれないが、アプローチとデパーチャーの各アングルはジープの方が上だ。

前後デフロックや解除可能なフロントスタビライザーにウルトラローレンジとオフロードタイヤも備わるのは、もっともラギッドなルビコンのみ。それは試せなかったが、それでも急勾配での登坂や岩場でのクローリングは非常にすばらしく、滑りやすい路面でもトラクションが掛かる。スロットルとトルコンATは、超低速のコントロールに合わせたチューニングが絶妙で、なかなか効果の高いトラクションコントロールの電子制御と相まって、普通のクルマなら絶対に入れないような場所でも走破できてしまう。

最大渡河深度:760mm
最低地上高:242mm

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温9℃
0-402m発進加速:16.9秒(到達速度:132.0km/h)
0-1000m発進加速:31.2秒(到達速度:163.2km/h)


ランドローバー・ディスカバリーTDV6 HSE
テストトラック条件:乾燥路面/気温10℃
0-402m発進加速:16.8秒(到達速度:133.9km/h)
0-1000m発進加速:31.0秒(到達速度:167.0km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温9℃
97-0km/h制動時間:2.37秒


ランドローバー・ディスカバリーTDV6 HSE
テスト条件:乾燥路面/気温10℃

 
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