海外試乗

2019.04.21

プロジェクトXな2台 フィアットX 1/9 ランチア・ベータ・モンテカルロ

フィアットX 1/9/ランチア・ベータ・モンテカルロ

文・サイモン・チャールズワース 

オイルショックを経て量産では4気筒化

後のベータ・モンテカルロとなるX1/8(後にX1/20に変更)の開発が始まったのは1970年。ミドシップの後輪駆動モデルで、ピニンファリーナ社がスタイリングを担当した。このクルマは、イタリアのカロッツエリアが設計から製造までを担当する初めてのクルマになるはずだった。エンジンはフィアット130に搭載されていたV6がベースで、2台のプロトタイプが製造された。

その内の1台は、宣伝目的も兼ねてイタリアで開催されたレース、ジロ・デ・イタリアに参戦した。なおこのレースは、現在の自転車ロードレースとは異なる。プロトタイプは、アバルト030ピニンファリーナと命名され、コードネームはアバルトSE030。900kgほどの車重に3.5ℓのV6エンジンが搭載され、最高出力は289psを誇った。


アバルトSE030は、ジロ・デ・イタリアを2位でフィニッシュしたものの、ランチア・ストラトスの登場によって、レースへの参戦プロジェクトは中止となる。さらにフィアットSpAグループの混迷と、第一次オイルショックにより、量産モデルのX1/20には4気筒エンジンが搭載されることも決定した。


1975年にX1/20はランチア・ベータ・モンテカルロとして、予定の1年遅れで発表される。ボディはクーペとタルガトップ・スパイダーから選べ、フルビア・クーペとフルビア・スポルトの生産中止で空いていた、スポーツカーの穴を埋めることになった。しかしランチア・ベータ・モンテカルロは価格の設定で苦戦してしまう。ランチアというプレミアムブランドは、大衆車ブランドのフィアットよりも高く値段設定がなされていたためだ。


モンテカルロには、技術者のアウレリオ・ランプレディが設計したベータにも搭載されていた2.0ℓのツインカム4気筒エンジンを採用し、5速マニュアルギアと組み合わされた。サスペンションは独立懸架式で、ブレーキディスクも備えていた。ピニンファリーナ社のカーデザイナーのパオロ・マルティンが手がけたボディは安価に製造できたものの、問題も少なくなかった。

 
最新試乗記