海外試乗

2019.04.21

プロジェクトXな2台 フィアットX 1/9 ランチア・ベータ・モンテカルロ

フィアットX 1/9/ランチア・ベータ・モンテカルロ

文・サイモン・チャールズワース 

ベビー・フェラーリというニックネームにも納得

前出のアバルトSE030同様に、X1/9プロトタイプは充分な活躍を見せ、イタリアやフランスなどのラリーイベントで3度の優勝を果たしている。しかし初シーズンの終焉と合わせて、GP4のホモロゲーションを獲得することもなく、プロジェクトのベースモデルはフィアット131にシフトしてしまうのだった。

1978年、X1/9は1498ccのエンジンから86psを獲得し、最大トルクは12.0kg-m/3200rpmにまで高められたほか、トランスミッションも5速マニュアルへと変更を受ける。衝突安全性の目的からバンパーは大型化され、エンジンリッドも形状に変更が加えられた。エンスージャストの期待にこたえるべく、ランプレディが設計した最高出力105psのフィアット・ウーノ・ターボieのエンジンも選ぶことができた。しかし1982年、フィアットはX1/9の生産終了を決定し、ベルトーネが1989年まで生産を引き継ぐことになる。


トライアンフにおけるスピットファイアのような位置付けのX1/9だが、当時この小さなスポーツカーに「ベビー・フェラーリ」というニックネームが付けられたことも納得できる。メカニズムや大胆で先進的なスタイリングのおかげで、名脇役としての地位を獲得することになったのだ。写真撮影の間に急なにわか雨に降られて、ボディの水滴を拭くことになったのだが、ベルトーネのデザインよりピニンファリーナのデザインの方が、周囲の見物者の注目は高かった。

今回の取材はバーミンガムからほど近い、モルヴァン丘陵で行った。時代を忘れたスポーツカー、モーガンの工場からもさほど離れていない場所。しかし今回のテストコースの状態は、時代相応にくたびれていた。丘の途中で主要道からそれると、未舗装の茶色い滑りやすい路面の道が蛇行し、大きな窪みもある。風で折れた枝や穴があちこちにあり、避けられない場所もある。うっかり事故を起こして、警察の規制線の黄色いテープが貼られるのではないかとヒヤヒヤする。

しかしありがたいことに、今回の2台のオーナーはどちらも不順な天気に動じることもなく、美しくオリジナルが保たれた低走行距離のクルマを快走させてくれた。

 
最新試乗記