[ABARTH 70周年]嶋田智之が、いま見つめるABARTH 595

プロジェクトXな2台 フィアットX 1/9 ランチア・ベータ・モンテカルロ

2019.04.21

英国ではわずか6台のベルデ・ベータ

まずは年代順に紹介しよう。クリス・クラークが所有するのは、1978年製、S1のランチア・ベータ・モンテカルロ。英国ではわずか6台だけの注文となった、鮮やかなライムグリーン「ベルデ・ベータ」に塗られた1台。「わたしは18歳の頃からこのクルマが好きだったんです。2台のベータ・クーペと、2台のベータ・スパイダー、3台のベータ・モンテカルロを所有しています。このクルマは3オーナー車でわたしが所有して11年目で、走行距離は3万8000kmほどです。このクルマではほとんど出かけません」 とクリスが紹介する。

「わたしが手にした時点でのコンディションは非常に良かったのですが、エンジンルームの汚れが気になって、エンジンを下ろして再塗装してあります。また見栄えが良くなるように、細部にも手を加えています。ボディサイドの2箇所も塗装してあるのですが、サイドシルのフロント部分がだめになっていたことが理由です。40年前の塗装と、新しい塗装とを色ムラなく仕上げるのは難しいですね」


モンテカルロの何が彼を惹きつけるのだろうか。「このスタイリングがとても気に入っているんです。初めに所有したのはベータ・スパイダーでしたが、ベータ・ファミリーへの愛に火をつけた存在でした。モンテカルロは運転しても素晴らしいクルマですが、特にS1はブレーキがだめだという意見も多いです。そこでわたしはブレーキのサーボを外して、イタリアのタロックス社製のブレーキにアップグレードしています。無茶をしないで、適正な車間距離を空けていれば、充分効くものになっています」

1978年の2月から1980年の3月にかけて、フロントブレーキのサーボの効きが強すぎロックしてしまう状況を改善させるため、ランチアはベータ・モンテカルロの生産を一時中止する。そして改良を得た1980年式以降のS2モデルには、13インチのピニンファリーナ・デザインのホイール、ブレーキ・サーボ、フロントのアンチロールバーが装備から落ち、14インチのベータ風アルミホイールに大型のフロント・ブレーキキャリバーを獲得。エンジンもチューニングを受けサイドミラーのデザインも変更され、フロントグリルもランチアのモデルに共通するデザインへとなった。ちなみに名前も「Monte -Carlo」から「Montecarlo」へと、ハイフンがなくなっていたりする。


モンテカルロのエクステリアで目を引く、Bピラー上部からエンジンリッド左右に続くバットレスだが、極初期のモデルと、それ以降とでデザイン変更を受けている。クリスが所有するクルマはガラス張りのもので、広々としていて眺めも良い。ダッシュボードはブラウンで、ピニンファリーナのロゴのバッジと、ジャガー・ルクルト製の時計があしらわれている。レイアウトは使いやすく、デザインはやや保守的な印象がある。ペダルは左側にオフセットしており、細身の靴を履いていれば操作性も良好。ドライビングポジションも快適で、足回りの空間にも不満はない。

 
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