ポルシェ・タイカン プロトタイプに助手席試乗 雪上でその性能を試す

公開 : 2019.04.28 09:50  更新 : 2021.02.10 17:27

こだわりの静寂性と加速性能

もしもタイカンのボンネットの下からクロスプレーンのV型8気筒エンジンのような音が聞こえると主張したら驚くだろうか? もちろんわたしも驚くが、そんなことは絶対にないのである。

ポルシェはホンモノにこだわっており、電気自動車なので当然電気自動車のような音が聞こえる。技術者は究極の静寂性を実現するため、プロトタイプの段階からあの電気自動車が作り出す特有の高周波音を打ち消している。

ポルシェからすれば、それが「静寂による豪華さ」なのである。今後もこの表現はさまざまな記事やインタビューで遭遇することになるだろう。だがそれとは逆に、オプションとして「サウンドパック」という音重視のパッケージも提供されるとのことだ。

わたしが試乗したモデルはラインナップの中でトップのモデル。だが実際は、前日の夜に大雪が降ったため、フィアット・パンダ4×4でも雪上でスピンするだろうと推測できるぐらいだ。なのでクリスティアンが600ps超えの性能に抱いた期待は、わたしたちにとっては少々過剰なようにも思えた。

無理もない。クルマ自体はその多種多様な安全装備によって完璧に構成されているようだ。クリスティアンに静止状態からフルで加速してもらったが、あたかもアスファルトの上を走っているかのように思うぐらいの加速安定性を保っていた。

端的に言えば、ドライな路面を走る標準のボクサーは雪上を走るタイカンに負けるだろう。スポーツプラスモードでは真っ直ぐ、滑るように加速していく。すべてをオフにすれば雪上で半円を描くようになる。このような電気自動車でも、ポルシェの「オフ」は正真正銘、本当に「オフ」になるのだと知れたのは良かった。

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