初試乗 フォード・レンジャー・ラプター オフロードのスポーツカー

2019.05.13

シャシー性能を突き詰めた、現実的なスピード感

レンジャー・ラプターの基本的な実用性も充分に優れている。それほど体にフィットするわけではないが、シートは新しくなり、車内に使われている素材も上質なものに変更されている。一瞬躊躇してしまう、5万ポンド(725万円)目前の価格に釣り合わせるために。

フォード製のインフォテイメント・システムは例によって使い勝手が良いものではないが、スマートフォンとのミラーリング機能は付いている。リアシートの快適性も合理的なレベル。静止状態のレンジャー・ラプターでお伝えできることは、この程度。

レンジャー・ラプターのシャシー性能に見合うような、高性能なエンジンが搭載されていないという点には、読者も腑に落ちないかもしれない。例えば、新しいトヨタ・スープラに1.4ℓのディーゼルエンジンを搭載して、我慢しているようにも感じてしまう。わたしの記憶では、0-100km/h加速が10秒以上もかかるのに、ハイパフォーマンス・モデルと名乗るクルマは、最近では他にない。

しかし、下駄を履いたシャシーの下を覗けば、フォードがどれほどの手を加えているのか理解できるだろう。標準のレンジャーでは不可能なスピードでグラベルを疾走させれば、フォードの目指したクルマの姿を理解することができると思う。

もちろん、フォードは3.5ℓの400psを超えるV6ターボエンジンを、レンジャーに搭載し、大きなオフロードタイヤを取り付けて、レンジャー・ラプターだと発表することもできたと思う。その場合も、現実と同様に大きな注目を集めたに違いない。

大きなエンジンを積む以上に、シャシー性能を磨くことにはコストを要する。同程度の価格で、ハイパワーなエンジンを選択した場合、シャシーの完全性は薄らいでしまうはず。その時、私は今回と同等の高い評価を与えないと思う。現実的なスピード感こそ、現代に求められている速さではないだろうか。

 
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