フェラーリ・モンディアル 2+2にV8エンジン 現代にはない上品さ

公開 : 2019.05.16 08:40  更新 : 2020.12.08 10:40

番外編:モンディアルのある暮らし

理解不足でのメンテナンスには警戒を

「モンディアルを買う場合、しっかりしたスペシャルショップで整備を受けてきたかどうか、注意をするべきでしょう。ディーラーでの整備やガレージでの整備のクルマは、警戒した方がいいと思います。特に古いフェラーリに対する知識不足で整備されると、致命的な不具合を招くことがあります。なんとかうまく生き抜いてきたモンディアルを見つけたら、しっかりお金をかけて維持してあげてほしいです」

「完全にクルマを修復できる準備ができていないなら、中途半端なクルマに手を出すべきではないでしょう。モンディアルは実際に乗りながら、少しずつ直していく、という所有の仕方ができないクルマなんです。次々と手を施すところが出てくるはずです。もっとも、サビや電気系統の不具合は避けられませんが、1970年代のクルマと比べれば、QVの頃の製造品質は飛躍的に向上してはいます。モンディアルには防錆処理が施されてはいますが、充分ではありませんでした。それでも以前のクルマよりは良かったんです。1980年代のプリント基板は例によって駄目になりますが、後期型のモンディアル3.2やtなら、ずっと良くなっています」

ドライブトレインに関しては、明確な弱点はないとするポグソン。「トランスミッション・フルードが充分に温まらない段階で、無理に2速に入れてしまうと、シンクロ機構にダメージを与える可能性があります。また、ニッケルシリコン合金を用いたシリンダーライニングや、ディファレンシャルギアからの異音にも気にかけておきたいところ。オーナーズ・ハンドブックやオリジナルの整備簿は重要なアイテムですし、標準のツールキットは購入すると高くつきます」

「キーはオリジナルのままがいいですが、イモビライザーが付いている場合は、1980年代のものなので信頼性は低いでしょう。ボディーカラーも重要です。このクルマのスタイリングは、日光の当たり方でボリュームが強調されるのです」 と話すポグソンは、日常的にモンディアルQVに乗っている。「週末にイングランド南西端のコーンウォールまで良くドライブにいきます。古いクルマでの長距離ドライブなので周囲の反応は様々ですが、わたしは全然気にしません」

少しハズしたフェラーリを日常的に利用しつつ、メンテナンス費用も惜しまない。車両価格が手頃だったとしても、むしろ贅沢な楽しみ方といえるだろう。

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