カーレビュー

2019.06.02

ロードテスト マクラーレン600LTスパイダー ★★★★★★★★★☆

マクラーレン600LTスパイダー

テスト日 : 2019年5月22日

価格 : 20万1500ポンド(約3023万円)

走り ★★★★★★★★★☆

600LTスパイダーの走りがいいだろうことはわかっている。しかし、客観的な尺度で570Sよりどれほど向上しているのかはっきりさせることを望まれるはずだ。やや重量のかさむ600LTスパイダーと、ウェイトハンデのない570Sクーペとを比べることになるのだが、それでもLTのなんたるかを知ることができる。

マクラーレンの電子制御システムを効かせて発進すると、奇妙なほどスムースで予期せぬほど暴力的なところもなく、ホイールスピンも起きない。この手のクルマがこうしたスタートダッシュ時に見せるような猛烈さは完全に抑えられていながら、0-97km/hで3秒の壁を破るのだ。0-161km/hはわずかに6秒を切れなかったが、570Sよりコンマ3秒速い、一級の容赦ない加速力の持ち主だ。フェラーリ488GTBとの発進加速の比較では、スタート直後は僅差ながら勝っており、やがてイニシアチブを明け渡すようになるが、それもゼロヨンのゴールやその先へ至る数百mにおいて徐々に開いていく程度だ。

パフォーマンス面におけるもうひとつのベンチマークはポルシェ911GT2RSだと聞いたことがあるが、マクラーレンがそう考えても無理はないところだ。600LTより100psも上だが、われわれのテストデータで見ると、加速タイムでリードするには193km/hを上回らなければならないのだ。エンジンが720Sで導入された4.0ℓユニットでなく、それ以前から使っている3.8ℓユニットであることを考えれば、このパフォーマンスのレベルは素晴らしいどころの騒ぎではない。

厳密に観察すれば、このエンジンは短期的かつ主観的に見て、4.0ℓ版ほど印象的ではない。競合するターボユニットのいくつかと比べると、低回転域でのスロットルレスポンスは目に見えてソフトなフィールだ。しかし、4000rpm以上ではずっと快活だ。

いっぽう、少なくとも何人かのテスターにとっては、サウンドはやはりスポーツカーというより、タキシングしているターボプロップの旅客機のように聞こえてしまうものだった。さもなくば、巨大な掃除用ブロワーか。オープンにして頭を突き出して、近い位置にある上方排気のエンドパイプが放つエキゾーストノートを楽しむのはたしかにおもしろい。しかし、ライバルたちはもっとエキサイティングで耳を楽しませるエンジンを積んでいる。

テストコース

600LTスパイダーは、MIRAのダンロップ・ハンドリングコースで、ポルシェ911GT2RSをほぼ1秒しのぐタイムを叩き出した。それも、そのためにタイヤの空気圧を調整する必要さえなかった。それでも、2017年にテストしたランボルギーニ・ウラカン・ペルフォルマンテの方が速く、その差はマクラーレンがポルシェにつけた差よりも大きい。

しかしながら、ダウンフォースの影響があまりないサーキットでは、マクラーレンが吊るしの状態で見せる走りには素晴らしいものがある。コーナリング中のハンドリングの正確性を求めて空気圧を少々調整しても、タイムも少々遅くなるだけだ。パワーを路面へしっかり伝える効果より、低速コーナーでの唐突なオーバーステアを招くほうに大きく作用してしまうのである。

マクラーレンのトルクベクタリングとトラクションコントロールは、きわめて効果的にクルマの挙動を制御してくれる。しかし、しばしばターボのブーストを早めに抑えてしまうので、介入されるとターボラグ以外のなにものでもないように感じられてしまう。

ドライサーキット


マクラーレン600LTスパイダー:1分6秒9

ポルシェ911GT2RS:1分7秒8

T3手前のバンピーなブレーキングエリアは、ブレーキが効くまでのわずかな間、クルマを暴れさせる。どうしてもっとブレーキングを遅らせなかったのか、と思っても、後悔先に立たずだ。

強力な制動力と横グリップ、それに優れたスタビリティによって、T5のヘアピンにハードなアタックをかけようという気になる。けれども、T6を回るときには、ESCダイナミックを切らずにおくほうが賢明だ。

ウェットサーキット


マクラーレン600LTスパイダー:1分16秒4

ポルシェ911GT2RS:1分12秒9

やや磨耗したトロフェオRが、ウェットサーキットでしっかりグリップしてくれなくても無理はない。このタイヤは、火星表面でさえ水たまりを見つけられるくらいウェット性能が低い。無事に走り切りたいなら、スタビリティコントロールは切らないことだ。

T4に続く逆バンクの左コーナーは、スプリングが固く、大きなタイヤを履いたクルマの弱点を露呈させることが多い。速度が高いと、スロットル操作がバッチリでもオーバーステアに転じさせるのだ。しかし、ESCがそれを速やかに、しかもスムースに抑えてくれる。

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温13℃
0-402m発進加速:10.7秒(到達速度:214.0km/h)
0-1000m発進加速:19.6秒(到達速度:268.0km/h)


ポルシェ911GT2RS
テストトラック条件:乾燥路面/気温19℃
0-402m発進加速:10.8秒(到達速度:219.4km/h)
0-1000m発進加速:19.3秒(到達速度:280.0km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温13℃
97-0km/h制動時間:2.52秒


ポルシェ911GT2RS
テスト条件:乾燥路面/気温19℃

 
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