ロードテスト マクラーレン600LTスパイダー ★★★★★★★★★☆

2019.06.02

操舵/安定性 ★★★★★★★★★☆

クーペモデルと同じく、このスパイダーはスーパーカーとしては珍しく、例外的に公道で走るのが楽しくなる。とはいえ、それはこのクルマの走りにおける基本方針の一部だと考えるべきである。というのも、570Sスパイダーも同じく、楽しくエキサイティングに2点間を移動できるクルマであり、600LTではそれ以上のものをサーキットでも、675LTがそうだったように提供してくれるからだ。

どれくらいベース車から高められているかを明確にするなら、トロフェオRがもたらす大幅に増した横グリップと接地面の感覚を挙げることができる。小さいながらもそれとわかる向上はボディコントロールに、ターンインの敏捷性や安定性に、コーナリング中のバランスにそれぞれ見られるが、これはサスペンションの改修によるものだ。

それだけでなく、驚くほど両立され、完全に補完しあっていると感じられるのが、ハンドリングの間違いないリニアさや正確さと、巧みに煮詰められた乗り心地とだ。おかげで、気圧されることなく、自信を持って、許される限り速く、公道上で走ることができるのである。それらは、パフォーマンスがこのレベルにあるミドシップスーパーカーとしてはまさに異例の資質で、600LTスパイダーを日常使いで輝かしいドライバーズカーたらしめるものだ。

サーキットでは、すべてにおいて傑出したクルマというわけではないかもしれない。それでも、グリップや安定性、速さ、スタミナ、制動力、いずれを取っても不足はない。となれば、定石通りに走らせたときの驚きは少ない。アペックスをすばやく駆け抜け、ブレーキは遅らせて強く踏み、クイックにシフトチェンジし、すべては正確に、パワーは過不足なく。

ただし、このクルマの電子制御系が、ESCダイナミックモードではハンドリングのアジャスト性にわずかばかり有効活用できる一方で、ドライバーズエイドを完全にカットすると、グリップ限界に近づくにつれ600LTのハンドリングはややまとまりを失う。だから、サーキットでタイヤを使い切るような走りは、911GT3RSや488GTBほど甘く、クルマ任せで楽しめるものとはならない。とはいえそれは、公正な目で見ても骨の折れる仕事だとはいえないのだが。

 
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