[アバルト70年の歩み]特別コンテンツ

ロードテスト ポルシェ911 ★★★★★★★★★☆

2019.06.16

走り ★★★★★★★★★☆

2019年時点のエントリーレベルのポルシェ911、その速さはいかなるものか。残念ながら、それはまだわからない。最廉価版のカレラが、テストを実施した時点でラインナップされておらず、試乗する機会を持てていないからだ。

とはいえ、ターボやGTSといった上級モデルが出そろい、ポルシェのGTカー部門がモータースポーツのテイストを盛り込んだハードコア仕様を徐々に追加していけば、カレラSもエントリーモデルのように見えることになるだろう。それを踏まえて、冒頭の疑問に、それなりの自信を持って答えよう。かなりのものだ。

ドライコンディションだが、それほど暖かくなかったテスト当日、450ps/54.1kg-mのマシンは、3.4秒で97km/hに、7.7秒で161km/hに達した。これらのタイムは、ほぼ同じようなコンディションで最近テストしたアストン・マーティン・ヴァンテージに後塵を浴びせるに足るものだ。驚くべきことは、これが991世代のGT3RSに匹敵する数字だということ。ターボ過給の恩恵がかなり大きいことを示唆している、といえるだろう。

実際、2300rpmも回せば、3.0ℓフラット6ツインターボのトルクは、力強い追い越し加速をみせる。ただし、一旦ヴァンテージのV8ユニットが回転を上げれば、そちらのほうがおおむね上回ることになる。911の基本的なアドヴァンテージが、ゼロ発進や低速から加速する際に見せる、ほとんど底なしのトラクションにあることは相変わらずだ。

しかし、これくらいアイコニックなクルマであればおそらく、パフォーマンスのレベルより重要なのは、そのデリバリーの本質やキャラクターだろう。その点で、新型911は馴染むのに時間がかかる。改善されたキャビンの静粛性と新採用の排気粒子フィルターは、サウンド面のキャラクターを抑えてしまい、先代よりものごとを穏やかに感じさせてしまう。回しすぎるとウェイストゲートのばたつきやノイズがそこそこあるが、この高効率ユニットはドライバーの頭をヘッドレストに押し付けるようなものではない。

しかしながら、これまでどおり8速DCTのセンセーショナルなまでに素早いシフトを感じはじめると、この改良版エンジンがスロットルのインプットへほとんど即座にみせる反応と、自然吸気のごとくレッドラインの7500rpmへと向かう熱狂的な回転を味わうことになる。素晴らしくリニアでフレキシブルなそれは、マラネロ以外が生み出したパフォーマンスエンジンとしては、現時点でおそらくベストな過給ユニットだ。

ブレーキングに移ると、カレラSはポルシェでおなじみの驚異的な奮闘ぶりをみせる。ドライ路面で113km/hからの完全停止に要する距離は39.9m。これはサーキット用のピレリPゼロ・コルサを履いたマクラーレン720Sに肩を並べ、43.4mのヴァンテージを大きく凌ぐ結果だ。

テストコース

「普通の911」であるカレラSは、ターボや四輪操舵などを得て、サーキットを走るクルマとしての速さや能力がどれほど高まったのか。それは、MIRAのダンロップ・ドライハンドリングサーキットで、2015年の991GT3RSに対してコンマ5秒落ちに収まったことにみてとれる。アストン・マーティンの競合モデルに対しては、ほぼ200kg軽いというアドバンテージが、ラップタイムに表れている。

この992型は素晴らしいタイヤの粘りやコントロール性、安心感を、グリップ限界に至っても感じさせる。後輪操舵はハンドリングのフィールを直感的で寛容に感じさせる程度にかすかなもので、拡大されたトレッドはターンインから踏ん張ってアペックスを捉えるまで、真に粘り強さを発揮してくれる。ハンドリングはしかし、これまでの911が見せたような遊べる余地や、スロットルのオン/オフによるアジャスト性があるものではない。

ドライサーキット

ポルシェ911カレラS:1分10秒4

アストン・マーティン・ヴァンテージ(2018):1分11秒4

テスト車にはカーボンセラミックディスクは装備されていなかったが、スティールディスクでも、かなりの周回を重ねてもフェードは感じられなかった。

後輪操舵システムは、T5のようなコーナーで、ブレーキングを遅らせて速い旋回をする際にみせるハンドリングの冴えをバックアップする。

ウェットサーキット

ポルシェ911カレラS:1分13秒4

アストン・マーティン・ヴァンテージ(2018):1分11秒0

テスト車は標準仕様のタイヤを履いていたが、それでもリアは巨大な21インチのホイールと、305セクションの極太タイヤとの組み合わせ。水たまりを切り裂くには、もっとサイズが小さいほうがよさそうだ。

トレッドが広がったことで、T7のような長く滑りやすいコーナーで発生すると予期していたスロットルオンでのアンダーステアは抑えられていた。グリップのバランスはとてもいい。

発進加速


テストトラック条件:乾燥路面/気温13℃
0-402m発進加速:12.0秒(到達速度:201.7km/h)
0-1000m発進加速:21.6秒(到達速度:253.1km/h)


アストン・マーティン・ヴァンテージ
テストトラック条件:乾燥路面/気温14℃
0-402m発進加速:12.1秒(到達速度:193.9km/h)
0-1000m発進加速:21.8秒(到達速度:248.5km/h)

制動距離


テスト条件:乾燥路面/気温13℃
97-0km/h制動時間:2.37秒


アストン・マーティン・ヴァンテージ
テスト条件:乾燥路面/気温14℃

 
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